Research Abstract |
本研究では世帯を基本的な調査・分析単位とし,世帯構成員間の相互作用,ソーシャルネットワークにおける個人間相互作用,準拠集団の個人意思決定に与える影響に着目し,経済学,社会心理学,マーケッティングや家政学などの知見を援用し,「個人間相互作用」を取り入れた都市生活行動に関する統合的な調査・解析手法を理論的に開発する。そして,開発した調査・解析手法の都市政策分析への適用可能性を明らかにする。H19年度には,研究レビューを行い,居住・自動車・生活時間のモデル分析,個人間相互作用の調査・解析手法の体系的構築を行った。 (1)居住・自動車・生活時間のモデル分析 居住行動について,集団意思決定を行う前の世帯構成員個別の意思決定が集団意思決定に与える影響を定量的に表現した世帯居住行動モデルを開発し,居住地選択と世帯主の通勤手段の選択に関する表明選好データを用いて,モデルの有効性を確認した。自動車について,その保有行動におけう世帯意思決定ルールの異質性を表現するため,PCL型集団離散選択モデルに,加法型,Max-Min型とMax-Max型効用関数という3つのルールを潜在クラスモデルにより融合させることに成功し,世帯自動車保有実態の行動データを用いてモデルの有効性を確認した。生活時間モデルについて,世帯意思決定における構成員の相対的影響力が意思決定の結果に影響されることを反映するため,構成員の相対的影響力を内生的に決定する世帯時間配分モデルを開発した。オランダで収集した活動日誌調査データを用いてモデルの有効性を確認した。 (2)個人間相互作用の調査・解析手法の体系的構築 世帯構成員間の相互作用だけではなく,ソーシャルネットワークと準拠集団の影響を統合的に調べることのできる調査・解析手法の体系的構築を試みた。そのための新規調査を来年度実施する予定である。
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