2007 Fiscal Year Annual Research Report
持続的な森林資源循環に基づいたカーボンニュートラル社会構築に関する基礎的研究
Project/Area Number |
19560552
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
天野 耕二 Ritsumeikan University, 理工学部, 教授 (80167957)
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Keywords | 環境調和型都市基盤整備・建築 / 二酸化炭素排出削減 / バイオマス / 森林工学 / 土木環境システム |
Research Abstract |
2000年の建築分野における木材のマテリアルフローの把握に基づいて、建築木材に関わる総括的な炭素収支評価を行った。建築木材としての炭素蓄積量は379万t-Cであり、83%が木造建築物に蓄積されたものと考えられる。建築木材に関わる廃棄木材による炭素放出量は429万t-Cであり、そのうち76%が未利用間伐材、林地残材等の森林放置によるものである。また、建築木材の生産および輸送過程で消費される化石燃料による炭素放出量は297万t-Cと推計され、41%が輸入材輸送過程における放出であったことから、輸入材を国産材に代替した場合、約121万t-Cの炭素放出量削減が期待できることがわかった。さらに、建築物の平均耐用年数である30年を伐採後の植林による育林期間と仮定すると、将来解体廃棄された際の建築木材そのものによる炭素放出量は、この育林期間中の炭素吸収量で相殺され炭素放出にはならないことが確認できた。廃棄木材による炭素放出量も含めて建築木材に関わる炭素放出を相殺するために必要な育林期間は54年、化石燃料消費も含む建築木材フローに関連する総炭素放出量を森林の炭素吸収量で相殺するための仮想的な育林期間は74年と推定された。更新性資源である木材を他の非更新性材料に代替することは化石資源の消費抑制や二酸化炭素放出削減に効果的であるばかりでなく、森林の適切な伐採周期を維持して炭素吸収量を確保するためにも必要であると考えられるため、他材料への代替効果を評価していくことが重要であることが示された。
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Research Products
(8 results)