2008 Fiscal Year Annual Research Report
持続的な森林資源循環に基づいたカーボンニュートラル社会構築に関する基礎的研究
Project/Area Number |
19560552
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
天野 耕二 Ritsumeikan University, 理工学部, 教授 (80167957)
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Keywords | 環境調和型都市基盤整備建築 / 二酸化炭素排出削減 / バイオマス / 森林工学 / 土木環境システム |
Research Abstract |
木材利用とその炭素収支を、森林と社会の木材需給バランスを考慮した観点から評価するために、建築分野を対象として建築用木材の需要と供給のバランスを考慮しながら木材利用量を変化させるシナリオを検討し、今後の建築分野における木材利用に関わる炭素収支を分析した。国内の森林は、1990年時の森林蓄積を維持した上で現状伐採量の5倍以上の木材供給能力があり、日本が京都議定書で定められた目標を達成するために必要な炭素吸収量を確保した上で、建築分野における木材利用可能量を充分供給可能であることが確認できた。これを受けて、国内森林および建築分野における木材需給バランスを変化させるシナリオによって2000年から2050年までの炭素収支を評価した。木材利用によって誘発される副次的な炭素収支も含めた拡大炭素フロー評価の結果、次の点が明らかになった。1.建築用木材利用量の政策目標を達成できるシナリオである非木造・輸入材の1%を毎年木造・国産材に代替していく場合、建築用木材利用量が現状傾向のまま推移するBAUシナリオと比較して2050年に528万t-Cの炭素排出量削減効果があり、この炭素排出削減量は1990年国内CO2排出量の1.7%に相当すること。2.非木造・輸入材の5%を毎年木造・国産材に代替するシナリオでは、BAUシナリオと比較して2050年に1685万t-Cの炭素削減効果が見込まれ、削減量は1990年国内CO2排出量の5.5%に相当すること。3.建築用木材の政策目標を達成できるシナリオである輸入材・非木造の1%を毎年国産材・木造に代替していく場合、2000年から2050年までの炭素蓄積増加量は、現状傾向のまま推移するシナリオの1.24倍となること。4.非木造・輸入材の5%を毎年木造・国産材に代替する場合は、2000年〜2050年までの炭素蓄積増加量は、現状推移シナリオの1.98倍となること。
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Research Products
(6 results)