2009 Fiscal Year Annual Research Report
持続的な森林資源循環に基づいたカーボンニュートラル社会構築に関する基礎的研究
Project/Area Number |
19560552
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
天野 耕二 Ritsumeikan University, 理工学部, 教授 (80167957)
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Keywords | 環境調和型都市基盤整備建築 / 二酸化炭素排出削減 / バイオマス / 森林工学 / 土木環境システム |
Research Abstract |
地球温暖化緩和策として木材資源活用に着目し、木材資源の生産側と消費側である森林と社会基盤における相互依存関係を一体として包括的に捉え、社会基盤と森林双方の持続可能性を高める木材資源循環に関する包括的な研究を行った。木材伐採量・伐採周期といった森林管理手法の違いによって経年変化する二酸化炭素吸収速度と管理コストの分析を行い、森林の二酸化炭素吸収量と林業経営双方に最適な森林管理システムを検討し、京都議定書における森林分野の目標達成において効率的な森林経営の方向性を検討するとともに、今後100年間にわたる長期的な森林炭素収支も視野に入れた評価も試みた。本研究により以下の点が明らかになった。(1)森林吸収源の取り扱いに関して、京都議定書の第二約束期間以降も現行のIPCC Default Approach(森林からの木材伐採を伐採時点で炭素排出と評価する方法)が採用される場合、日本国内の人工林では常時複層林型だけが持続的に炭素吸収量を確保できる森林経営手法となり、現状の国内人工林の状況を想定した弱択伐型は持続的に炭素吸収機能を維持することができない経営手法であること。(2)今後の本格的導入が検討されている国内排出権取引制度において、森林経営による二酸化炭素吸収量が排出権取引の対象として認められた場合、排出権売却利益を含めた森林経営収支は、弱択伐型および常時複層林型において現行の育林補助金と同等もしくはそれ以上の収支改善効果を示すこと。(3)二酸化炭素を吸収するための森林経営活動は、他の二酸化炭素削減施策(エネルギー転換施策、省エネルギー施策、自動車交通施策)を導入する際の限界削減費用(円/t-CO_2)と比較して1/15以下の費用負担で実施可能であること。
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Research Products
(5 results)