2009 Fiscal Year Annual Research Report
種々の木造軸組における大変形構造性能の解明とその災害対策への応用
Project/Area Number |
19560558
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
津村 浩三 Hirosaki University, 大学院・理工学研究科, 准教授 (30145669)
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Keywords | 建築構造 / 減災 / 耐震 / 地震工学 / 自然災害 |
Research Abstract |
地震の被災地では地震後、数度から数十度傾いたまま立っている木造住宅が、しばしば見受けられる。傾いた建物は解体されることが多いが、傾きをもどして使用することが可能な場合が多々あると思われる。本研究は実験と計算により地震で傾いた木造住宅について、これを解体するか否か、傾きをもどし補強せず、または補強して使用をつづけるかといった判断を下せるようにするためのものである。 実験に用いた試験体は在来軸組工法で4本の柱を使用したものである。構造用合板を貼り付けた試験体に地震を想定した加力により5度程度の傾きを生じさせた。その後、傾きをほぼゼロにもどし、外れた構造用合板を貼り直し、再度、地震を想定した加力を行った。その結果、当初の試験体に比べ多少劣る耐力値が得られた。また、構造用合板を貼り付けない試験体について加力を行い、その後に構造用合板により補強して実験を行い、補強効果があることが判った。かすがいを使用した試験体についても同様の実験を行った結果、かすがいを使用したままでは、構造用合板による補強効果は低く、被災後の再使用に当たっては、構造用合板を使用している箇所のかすがいは、山形プレートにとりかえたほうが良いことがわかった。 実在した平屋建ての木造住宅をモデル化し、これに実験から得られた木造軸組の力学特性を組み込み、建物の地震時挙動シミュレーションをおこなった。その結果、例えば初被災で5度ほどの最大変形があったものについて補修を行ったところ、再被災(入力地震動は初被災のものと同じ)時に最大変形は約1割増大したものの、倒壊は免れた。このほか被災後、補強も併用すれば、再度被災しても軽微な損傷ですむケースのあることがわかった。種々のケースの結果をまとめた。
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