2007 Fiscal Year Annual Research Report
低靭性実大柱梁溶接部の高速・実地震波載荷時の破壊挙動に関する研究
Project/Area Number |
19560572
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
崎野 良比呂 Osaka University, 接合科学研究所, 助教 (80273712)
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Keywords | 柱梁溶接部 / 実大実験 / 高速繰返し / 低靱性 / 脆性破断 / 吸収エネルギー / スカラップ |
Research Abstract |
本研究の目的は、これまで実施が困難であった溶接接合部の超高速繰返し曲げ試験および実際の地震波での曲げ試験を行い、超高速引張試験において脆性破断と変形能力の急減が見られた低靭性溶接接合部の変形能力を、実大の柱梁溶接部の実験で定量的に明らかにすることである。これにより、動的外力を対象とした溶接構造物の安全性評価のための基礎資料が得られる。 本年度はまず実大柱梁試験体の設計を行った。梁材に0℃のシャルピー吸収エネルギーが20JのH形鋼を用い、スカラップを設けることにより梁から破壊するよう設計した。この実大柱梁試験体を2体作成し、高速繰返し試験に供した。載荷パターンは漸増変位振幅繰返し載荷とし、速度を10mm/secと1,200mm/secの2種類とした。また、これまで行われてきた高速試験は最大変位では速度が0となる正弦波を用いているのに対し、本実験では全ての変位で最大速度となる三角波を採用した。試験温度は0℃とした。速度1,200mm/secの場合、試行錯誤により柱梁接合部の周りに取り付けた容器にアル コールと水を混ぜた液体を満たし、-10℃付近まで冷やした後液体を抜き、試験体の温度が0℃となった瞬間に実験を開始した。これにより、動的載荷時の発熱が冷却液に奪われる事を極力抑えた。実際の実験では、変位が予定より若干大きめにでてしまったが、速度はほぼ全変位において所定の速度が得られ、また、スカラップ底から脆性破壊を再現することができたため実験手法が確立できたといえる。実験結果は現在データ整理中であるが、吸収エネルギーは速度の影響による大きな差異は無かった。今後詳しい検討を行う。 来年度は、本年度得たノウハウを生かし、実際の地震波での曲げ試験を行う。また、実大実験を補間するために、溶接部の高速引張試験も行う予定である。そのための試験体の設計とジグの制作は本年度行った。
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