Research Abstract |
本研究は,再帰反射材料の日射照り返し抑制効果に着目し,ヒートアイランド対策用建材として利用することを目指している。昨年度までの研究で,再帰反射性の発現方式(球状レンズ型とプリズム型)ごとの反射指向性を把握し,さらに,再帰反射性能の測定方法を確立することができた。研究期間の最終年度となる本年度は,実用化に向けて残された課題である,反射材の耐候性の評価,及び,再帰反射率測定装置の測定精度の評価に取り組んだ。 まず,耐候性試験については,再帰反射材の反射層として用いる予定である塗膜について,屋外暴露3年間の反射率の変動について分析した。その結果,反射率の変化は年1%程度であり,建材として実用に堪えうる耐候性を有していることが分かった。つぎに,再帰反射率の測定について,再帰反射光の光学的な観測は,入射光軸と反射光軸が一致してしまうため,一般的なレンズ系を用いた光学測定では高精度で測定することが難しく,温熱測定などのデータから間接的に推測する必要があったが,本研究では,投受光一体型光ファイバー系を導入することで,入射・反射光軸をレンズを使うことなくほぼ一致させ,光学的に短時間で再帰反射率を測定する方法を提案している。本年度は,これまでの研究成果に基づいて,品質保証のために必要となる施工後の反射特性の現場測定を想定した,持ち運び可能で,使いやすい簡易再帰反射率測定装置の設計・製作を行い,従来の温熱測定に基づく測定方法と同等の測定精度を有することを確認した。 以上,実用化の際に必要となる耐候性評価,及び,施工現場での性能評価方法を確立することができた。
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