Research Abstract |
本研究は,建築物の給水・給湯システムの計画設計に供するための給水・給湯負荷予測とそれに基づく機器容量算定法を提案することを目的としている。 本年度は,現在開発を進めている器具の時系列的使用解析に基づき,モンテカルロ・シミュレーション手法を適用するための器具および水・湯の使われ方に関する基礎データの整理を進めた。また,その手法によった時系列的給水・給湯負荷をもとに,給水・給湯システムについて機器容量の算定を行い,本算定法が従来法に比べ,省エネルギー性の高い最適な給水・給湯設備設計を進めるのに有用であることを示した。具体的な主たる内容は以下のとおりである。 1)住宅,ホテル,飲食店舗について,各器具使用と用途をまとめたユニットによる給水・給湯負荷算定モデルを提案した。また,福祉施設,温浴施設等について,これまで収集してきたデータをまとめた。 2)事務所の給水負荷モデルによった時系列的算定による検討から,ポンプ直送方式の計画設計では,動的な本算定法が有用であることを示した。また,住宅,飲食店舗,ホテルを対象に,算定した給湯負荷に基づき貯湯槽容量と加熱能力の関係を検討し,従来法に比べ省エネルギー設計が可能となることを明らかにした。さらに,この3用途の建物を対象に,個別と複合した場合の施設について,負荷平準化の可能性を検討した。 3)本年度の研究成果をもとに,社団法人空気調和・衛生工学会主催,NPO法人給排水設備研究会後援によって,シンポジウム「スタンダード化に向けた各種建築物の給水・給湯負荷と機器容量算定法の提案」(東京,2月8日)を開催した。そこでは,研究代表者と研究分担者等によって,新しい給水・給湯負荷算定法の考え方,住宅・ホテル・事務所・飲食店舗における給水・給湯負荷と機器容量の算定法について解説し,討論を行った。会場からは,本算定法の早い時期での実用化が求められ,次年度の研究展開が期待された。
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