Research Abstract |
2年間の研究期間の最終年度であり,これまで開発を進めてきた器具の時系列的使用解析に基づくモンテカルロ・シミュレーション手法を用いた給水・給湯負荷算定法の実用化に向けて,各種建物用途の算定モデルおよび実用に供するシミュレーションプログラムの確立を行った。具体的には以下のとおりである。 1)対象建物用途としては,住宅,事務所,飲食店舗,ホテル宿泊部について,建物特性(規模,要求レベルなど)を考慮した給水・給湯負荷算定モデルの整理を行い,実用上で要求される負荷要因に応じたモデルの提案を行った。また,戸建て住宅については,浴室の湯使用を中心とした分析から,多様な入浴スタイルを想定したレベル別給湯負荷モデルを設定した。 2)超高層集合住宅で採用されているポンプ直送給水方式を事例に,実測と居住者アンケートを実施し,それをもとに想定した世帯人員別算定モデルによった負荷算定結果と実測値を比較検討し,負荷予測手法の妥当性を検証した。精度の高い負荷予測によって,最適な給水方式の検討が可能となることは,事務所を対象とした前年度の成果で明らかにしているが,さらに集合住宅でもその応用性を確認した。なお,時系列的給湯負荷と貯湯槽容量・加熱能力の検討は実施済みである。 3)給水・給湯負荷算定プログラムの開発を進めた。実用性を考慮して,始めに,建物用途,建物特性などを入力条件として選定してから,シミュレーションの実行をするようにしている。算定結果は,時系列的な負荷変動パターンが把握できるようにするとともに,瞬時,時間,日負荷の統計値が算出されるようになっている。 4)関連学会および国際シンポジウムで研究成果を発表しているが,実用化に当たって,算定法の体系を出版物としてまとめることを企画している。
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