2008 Fiscal Year Annual Research Report
アレグザンダーの理論の起源:数学的モデル(構造)と証明(プロセス)
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19560618
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
長坂 一郎 Kobe University, 人文学研究科, 准教授 (10314501)
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Keywords | クリストファー・アレグザンダー / 数学的モデル / 証明プロセス / パタン・ランゲージ / 生成プロセス |
Research Abstract |
本年度は,前年度までの検証に基ついて,アレグザンダーが展開してきたデザイン理論に数学的な基盤を与え,その理論的全体像を明確にした. 数学的モデル論とパタン・ランゲージの対応については,アレグザンダーのデザイン問題の定義における「形」,「コンテクスト」および「適合」について,これらが数学における形式主義を基盤として語られていることを示し,「形」とは形式的表現のことであり,「コンテクスト」はその形式的表現に解釈を与える集合上の構造であり,「適合性」とは真理値のこととして捉えることができることを明らかにした.そして,「形とはデザインの問題に対する解であり,コンテクストはその問題を規定する」とは「形式的表現(一般に論理式)は,ある真理条件に対して真となり,構造はその真理条件を規定する」と自然に解釈できることを示した. 生成プロセスの理論と数学的証明プロセスの対応については,「パタン」がルールであり,生成システムがその本質においてルール・システムであること,および,その例として数学における形式的システムが挙げられていることとを考え併せ,数学における証明プロセスの概念がこの生成プロセスの原型となっていると考えられることを明らかにした.このように考えれば,デザイナーが従うべきパタンの集積が形式的システムの統語論のアイデアに基づいて構想され,その統語論によって導出された形とコンテクストとの適合性がその意味論に基づいて定式化されたと考えることが自然であることを明らかにした.
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Research Products
(4 results)