Research Abstract |
研究の中間成果として,2008年ローマで開催された国際古典考古学学会にてエジプト・ザウィアット・スルターン古代採石場およびイタリア・ポンペイ遺跡の城壁についてのポスター発表を行った。前者では,広範囲に広がるプトレマイオス朝時代の古代採石場について,グラフィティから年代を明らかにし,その採石方法について復元を行った。古代採石場では,年代が確実に判明する事例は少なく,非常に貴重な遺構であることが改めて確認された。後者では,ポンペイの城壁を構成する石材をその高さによって5種類に分類し,時代別の編年を試みた。その結果,後の修築に用いられたと思われる石材の特定に成功した。城壁は従来,前5から4世紀ころに一体的に建設されたと考えられてきたが,もちろん当初の構築物に加えて,修築の痕跡が確認されたことで,より複合的な構築物としてとらえる必要性が新たに指摘された。また,2009年3月には,イタリア・トレントで開催された国際ワークショップ,3DArchにおいて,イタリア・オスティア遺跡で実施したレーザー測量の結果を報告した。ここでは,従来の地図データの正確さを検証するとともに,高層建築物における微細な傾きの検出に成功した。レーザー測量の有効性が改めて確認された。また同席で,ポンペイの3次元測量データのフォーマットの共通化に関するボローニャ大学の発表があり,ポンペイの城壁,道路に関するデータの共通フォーマット化について,発表者と意見交換を行った。
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