Research Abstract |
イタリアのポンペイ、オスティア遣跡およびエジプトのアコリス遺跡において実測調査を進めた。平成21年までの調査結果をもとに,11月に英国,イタリアより研究者を招聘し,東京,京都,福岡にてt国際シンポジウムを開催した。これまでの研究成果および世界の最先端の研究成果について公開するとともに,本研究についてもエヴァリュエーションいただき,高い評価を得ることができた。さらに,今後の研究についても高い期待が寄せられた。本シンポジウムでは,ポンペイとオスティアを比較することで,石材中心(とくに乱石積みとして)の都市ポンペイとレンガ造中心の都市オスティアの共通点と相違点が明らかになった。共通点は,石によって舗装され続けた道路がもつ都市機能であり,ポンペイにおいて新たに指摘された微細な凹凸による排水のコントロールとオスティアでも洪水対策としての地盤のかさ上げという形で見いだされた。相違点は,建築の高層化技術の一つとしてオスティアでは石材が利用されていた可能性があるが,今後のテーマとして課題を残した。ポンペイにおける道路排水の思想については,国際学会でその成果を公表した。つぎに,エジプトでは,ポンペイやオスティアには視られない巨石文化についての考察を進めた。巨石を巡る技術や文化が,後の古代ローマとは全く異なること,そしてエジプトでは巨大性という文化が保存されるのに対して,エジプトを支配したローマ入は,その技術的側面を実利的に応用することで,古代ローマのエジプトとは異なる巨大性を実現したことを示した。本研究成果も,国際学会にて公開されている。また,これまでのンペイの研究成果を著書(英文)として刊行した。
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