2008 Fiscal Year Annual Research Report
院政期貴族住宅における居住形態と建築構成に関する研究
Project/Area Number |
19560648
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
溝口 正人 Nagoya City University, 大学院・芸術工学研究科, 准教授 (20262876)
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Keywords | 貴族住宅 / 院政 / 居住 / 建築 / 高陽院 / 土御門殿 |
Research Abstract |
本研究の目的は、建築構成と居住形態との関係を分析することによって、院政期貴族住宅の空間的実態を解明することにある。具体的な作業としては、文献史料をもとに建築平面など具体的な建築構成が明らかとなる事例において、居住者がどの殿舎で起居していたかという居住形態を明らかにし、建築構成とどのような関係にあるかの事例分析を重ねる。その結果として院政期貴族住宅の住まいとしての空間的な実態と時代的な変遷を解明するものである。このような目的のもとで、可能な限りの悉皆的な文献の調査を行い、殿舎名称の異動・利用者・利用目的などの属性に着目しながら貴族住宅の建築構成に関して収集した平成19年度のデータをもとに、本年度では、居住者の利用期間、居住形態が確認できる事例、特に院政期において家長的な側面を強める上皇や女院の居所である院御所に着目して、家族の同居の実態と建築的な対応関係の分析を進めた。この分析の中で住宅から仏堂への転用の事例を把握し、同時代のビルディングタイプを越えた建築的実態を分析して、その成果は『三条白川坊熾盛光堂の由来と建築構成-住宅風仏堂成立の一側面-』(『芸術工学への誘い』XIII所収)としてまとめた。なお2007年度に参加の招請を受けた国立歴史民俗博物館開催の研究集会の成果をまとめる作業にあわせて、日本における宮殿建築の特質を整理したが、中世における貴族住宅に指摘できる居所の建築的な独立が、天皇の居所である内裏では先行して指摘できることを把握した。この点については、まとめとなる平成21年度にさらに分析する予定である。
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Research Products
(2 results)