2007 Fiscal Year Annual Research Report
精神障害者の空間図式に関する実証的研究-居住空間構成法及び風景構成法を通して-
Project/Area Number |
19560650
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Research Institution | Chiba Institute of Technology |
Principal Investigator |
柳沢 和彦 Chiba Institute of Technology, 工学部, 准教授 (60314241)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡崎 甚幸 武庫川女子大学, 生活環境学部, 教授 (80026062)
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Keywords | 建築史・意匠 / 建築計画 / 空間図式 / 居住空間構成法 / 風景構成法 / 箱庭療法 / 統合失調症 |
Research Abstract |
研究の全体構想は、人間にとって普遍的で根源的な内的原理が存在すると考えられる発達と病理の両側面から、生活空間の構成に関わる基本的な内的空間図式を実証的に解明し、これら両側面を総合して人間存在の構造に適った生活空間を実現するための有効な知見を提示することである。この全体構想の中で本研究課題の目的は病理的側面にある。すなわち、箱庭療法をヒントに考案された居住空間構成法および風景構成法を用いて、精神障害者に生活空間を樽成してもらい、それらの作品群の空間構成の特徴を明らかにし、そこから生活空間の構成に関わる彼らの空間図式に関する知見を得ることである。このような目的のもと、平成19年度には以下のような研究成果を得た。 1、精神病院にて精神障害者と調査者との1対1での状況の下、居住空間構成法および風景構成法による作品制作の遂行。統合失調症者41事例、てんかん性精神障害者4事例、躁鬱病者1事例、うつ病者1事例、看護師4事例の計51事例の作品を得た。2、現場観察メモおよびビデオより、事例の特徴記述の遂行。3、担当医に対するインタビュー調査などによる制作者の生活史的背景の把握。4、 「作品」 「事例の特徴記述」 「制作者の生活史的背景」のデータベース化。5、これまでに幼稚園児から大学生までの風景構成法作品、約1100枚の研究実績がある。これら健常者の風景構成法の作品と、今回新たに得られた統合失調症者の風景構成法の作品との比較分析を行った。その結果は9月の日本建築学会大会で発表する予定である。 なお、平成20年度も同様の制作調査研究を行うことができる環境が整っているので、継続して調査を行い事例を増やすことで、データベースの充実化を計る。また平成20年度も継続して風景構成法の作品分析を行い、年度内に審査付論文としてまとめる予定である。
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