2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19560657
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Research Institution | Mukogawa Women's University Junior College Division |
Principal Investigator |
黒田 智子 Mukogawa Women's University Junior College Division, 生活造形学科, 准教授 (10223968)
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Keywords | 生活像 / 都市計画 / Thinking-Machine / 生命体 / 観察塔 / 仮面劇 / 女性 / スラム改善 |
Research Abstract |
1.『進化する都市』(1914)における女性の生活像についての記述を抽出する。これらを、現状、都市計画実施後の将来像、および究極の将来像としての理想像に分ける。まず、現状を理想像に照らすことによって、現状の問題点とその原因についてのゲデスの捉え方を考察する。次に、将来像において、現状の問題解決の内容と程度、理想像との共通点と相違点および理想像へ至る条件について考察する。次に、女性の生活を現状から将来像へと導く都市計画についての記述を抽出する。これらを、都市の調査、計画の策定および実施段階における、都市計画家などの専門家や他の市民と女性との役割分担を視点に考察する。 2.グラスゴー・ストラスクライド大学ゲデス文庫における文献資判調査と、エジンバラに於けるフィールド・サーヴェイ(2007年9月4日〜25日)を行う。文献資料は、エジンバラを中心としたゲデスの活動記録(1900年〜1915年に限定)において、都市を進化する生命体と捉えるゲデスの論理展開または思考方法を示す図式(ゲデス自身がThinking Machineと名づけた)、多数の女性の協力を得たか、または女性の生活像または理想像が表現されたもの(仮面劇、サマースクールなど「観察塔」を拠点とした活動、芸術・歴史の分野での論考)、旧市街のロイヤル・ストリート周辺においてゲデスが提案したスラム改善案の図面・スケッチを中心とする。 3.以上から、女性の自発性を促し、都市環境を創る潜在能力を発揮させるためのゲデスの工夫とその限界について考察する。都市計画の理念、方法に関する国際比較は近年盛んであるが、生活者や生活像を視点とするものはあまり例がない。国際比較の内容を豊富化すると共に、計画内容の長所・短所を生活者側が判断するための一助となるような成果を目指している。
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