2007 Fiscal Year Annual Research Report
超高圧電子線トモグラフィの撮影に要する時間を1/100以下にする高速撮影法の開発
Project/Area Number |
19560663
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
吉田 清和 Osaka University, 超高圧電子顕微鏡センター, 教務職員 (50263223)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 博太郎 大阪大学, 超高圧電子顕微鏡センター, 教授 (10024366)
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Keywords | 超高圧電子顕微鏡 / 電子線トモグラフィー / 高速撮影法 |
Research Abstract |
電子顕微鏡において、試料の立体的情報を得る手法である電子線トモグラフィーでは、試料を±60度以上傾斜して多数の像を撮影する必要がある。超高圧電顕では1シリーズ撮影するにはおよそ3〜5時間を要している。さらに、撮影画像から再構築像を得るには画像の正確な位置合わせが必要であり、これにも長時間を要している。本研究ではこれらの時間を大幅に短縮するために大きく分けて3つの問題を解決する。まず、1.撮影に時間を要している原因の一つは傾斜に伴う像の位置とフォーカスの変化の修正作業である。この作業を不要にするために高精度試料傾斜装置を開発した。機構部の高精度化、ユーセントリック調整機構の改良などを行い±60度傾斜しても像の移動が3μm以内の性能が実現できた。これは1万倍以下であれば傾斜をしても目標物が視野内に留まる量であり、修正の作業が不要であることを意味し、大幅な時間短縮が実現できた。次に、2.現在撮影に用いている冷却CCDカメラは1コマ撮影に1分弱の時間が必要である。これに代わって高速連写ができる一眼デジタルカメラおよびハイビジョンカメラによる撮像ができるシステムを構築した。得られた画像を大きく拡大して冷却CCDと比較すると、一眼デジカメの場合S/N比が、ハイビジョンカメラの場合解像度が少し劣っていた。しかし三次元像再構築に用いる場合は1Mピクセル程度なのでいずれも十分な画質であった。これらに加え、撮影効率をより向上するために、傾斜装置と連動して撮影シーケンスが進むソフトウエアーを開発した。その結果、従来1シリーズ121枚の撮影に数時間要していたものが、一眼デジタルカメラで20分程度、ハイビジョンカメラの場合は最速で1分弱で撮影ができるようになった。これは遠隔観察の場合も同様である。20年度はさらなる撮影シーケンスの最適化および3.像の再構築作業の高速化を重点に進める予定である。
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