2007 Fiscal Year Annual Research Report
多元極限下赤外顕微分光を用いた光学応答測定の強相関固体物質への拡張と電子物性解明
Project/Area Number |
19560665
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
入澤 明典 Kobe University, 自然科学系先端融合研究環重点研究部, 助教 (90362756)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森脇 太郎 (財)高輝度光化学研究センター, 利用研究促進部門, 副主幹研究員 (90372143)
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Keywords | 低温高圧 / 赤外顕微鏡 / 放射光 / 強相関電子 |
Research Abstract |
実施計画に基づきSPring-8の装置において以下の開発改良をおこなった。1.加圧ガスケットの熱処理、ジュラコン製耐圧スペーサの導入、新たな圧力媒体ダフニーオイル7373の採用により、最高圧で20GPaに到達した。2.冷媒循環経路の改良、輻射シールド改良により、最低温度は6Kに到達した。また、SPring-8での成果から実験室装置においての今後の方針が示された。一方で実験室において、FT-IRの装置回路上に新たなブランチとして可視-紫外領域の回折分光装置および光電子増倍管検出器を導入することにより高エネルギー領域を目標の4eVまで拡張することに成功した。今後、さらに経路切り替え等の改良により広帯域同時測定への見通しがついた。以上の開発改良の成功により重い電子を示すd電子系酸化物LiV_2O_4における低温高圧下での電荷秩序状態において赤外反射測定を行い、電荷秩序化にともなう金属-絶縁体転移に対して6-300K,0-20GPaの範囲での詳細な温度-圧力相図を新たに作成することに成功した。この結果から本物質における特異な表面依存性を明らかにし、電気抵抗、エックス線回折などの他の高圧測定の結果では不明瞭であった転移点近傍の電子状態の変化を初めて直接解明することに成功し、統一的解釈を行った。
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