2008 Fiscal Year Annual Research Report
多元極限下赤外顕微分光を用いた光学応答測定の強相関固体物質への拡張と電子物性解明
Project/Area Number |
19560665
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
入澤 明典 Kobe University, 自然科学系先端融合研究環重点研究部, 助教 (90362756)
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Keywords | 低温高圧 / 赤外顕微鏡 / 放射光 / 強相関電子 |
Research Abstract |
実施計画に基づき低温側は6K、高圧側は20GPaまで測定可能となったSPring-8の装置において重い電子を示すd電子糸酸化物liV_2O_4における低温高圧下での電荷状態を、温度-圧力変化をともなう赤外反射測定をおこなうことで詳細に研究した.金属状態から電荷秩序状態に至る過程で、部分的な秩序状態を示す温度-圧力領域が存在することがわかった。これは以前の実験で低温高圧下で発生していることが示唆されていたが、本研究による系統的な温度-圧力変化実験により、室温でも13GPa程度の高圧下で同様り部分的な秩序状態を初めて観測することに成功した。これらの実験結果を基に他の物質系での実験も進め、金属絶縁体転移を示すパイロクロア酸化物Ln2Ir207, Ln2Mo207などの低温高圧下での電子状態の変化を光学スペクトルの変化から検証した。これらの実験により、遠赤外領域での波長限界をさらに開拓する新手法を発案し、2009Aのビームタイムに申請、承諾を得たので実施する予定である。一方で実験室において、FT-IR装置で、遠赤外領域の検出器であるボロメータの窓材も改良を施し、ノイズが増えることと引き替えに信号強度が確保できるようになった。また、検出器を支えると同時に光軸調整が可能となるようなステージと精密ジャッキを購入し組み合わせた。これらの改皇により、実験室装置においても遠赤外領域でダイヤモンドアンビルを通して信号が確認できるに至っている。
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