2008 Fiscal Year Annual Research Report
ジルコニアのマルテンサイト変態における結晶学および核生成に関する研究
Project/Area Number |
19560666
|
Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
早川 元造 Tottori University, 大学院・工学研究科, 教授 (60093621)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
音田 哲彦 鳥取大学, 大学院・工学研究科, 講師 (80273879)
赤尾 尚洋 鳥取大学, 大学院・工学研究科, 助教 (70335503)
|
Keywords | イットリア添加ジルコニア / マルテンサイト変態 / 変態温度 / 結晶粒径依存性 / 粒界応力 / 負荷応力 |
Research Abstract |
【目的】ジルコニア系セラミックスにおいてマルテンサイト変態開始温度は試料の結晶粒径に顕著に依存することが知られている.この原因として母相の非等方的熱膨張係数による粒界ミスフィット応力が考えられているが直接的な証拠は示されていない.本年度の研究ではこのことを検証するために,粒粒界応力および外部負荷応力によりMb温度がどの程度影響されるかを明らかにすることを目的とした. 【方法】粒界応力の影響を調べるためには,1.7mo1%Y203添加ZrO2の粉末より直径1mm程度の球状試料を作製し,1650℃の加熱温度より1000℃まで12.5℃/hで徐冷した後室温まで冷却した試料,および1650℃より1000℃まで比較的速やかに冷却した後室温まで冷却した試料の2種類作製した.これは,1000℃まで徐冷した試料は冷却中の拡散クリープにより粒界応力はおおむね緩和されており,1000℃まで速やかに冷却した試料は応力緩和が起こらないので高い粒界応力を持つという考えに基づくものである.なお,両者の結晶粒径は1650℃での加熱時間を調整することにより同一値(4μm)に揃えた,負荷応力の影響測定には2×2×4mmの圧縮用試験片を作製し無負荷および125MPaの圧縮応力下でのMb温度を測定した. 【結果・結論】1000℃まで急冷した試料の方が粒界応力の影響を受けてMb温度は高くなることが期待されたが,測定結果は逆に60℃程度低くなった.1.7mol%Y203は1650-1000℃の範囲で状態図的には正方晶単相領域であるので偏析は起こらないはずであるが,念のためEPMA分析を行うと,徐冷試料では粒界近傍にYが偏析する傾向が見られた.一方圧縮応力の影響を測定した結果,無負荷ではMbは-22.2℃,125MPaの圧縮応力下では-25.2℃と殆ど差が見られなかった.これらの結果より,ジルコニアのMb温度は応力の影響は小さく,Mbの結晶粒径依存性の原因についても見直す必要がある.
|
Research Products
(5 results)