2007 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ及びマイクロインデンテーションにおける定常変形実現に関する検討とその応用
Project/Area Number |
19560670
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
藤原 雅美 Nihon University, 工学部, 教授 (40156930)
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Keywords | インデンテーション / 計装化押込み試験 / べき乗則材料 / 幾何学的自己相似性 / 擬定常変形状態 / クリープ特性 / クリープ律速機構 / コントロールボリューム |
Research Abstract |
高温の試料表面に円錐形圧子を押し込んだとき,その直下の変形領域において擬定常変形状態を実現する方法について,理論,計算機シミュレーション,実験の見地から検討した.圧子による押込み圧力をpとし,その直下領域で相当応力がp/3となる場所を代表点と定義し,この相当応力を圧子による変形領域の代表応力σ_rと呼ぶことにする.FE解析の結果,この点における相当塑性歪み速度・/εと押込み歪み速度ε^^<-・>にはε^^・〓3.6^^<-・>という関係があることを明らかにした.これは単純モデルから予測した結果(ε^^・=3ε^^<-・>)とほぼ同じである.上記の代表応力と相当塑性歪み速度の間にべき乗則が成り立つとき,押込みクリープに関する構成式はε^^・=A_1(σ_r/E)^n=A_2(F/Eu^2)^nと書ける.押込み荷重をF=F_0exp(λt)で与えるとき(λ:負荷速度パラメーター),ε^^・=λ/2{1-exp(-λnt)}となり,ある時間以降ε^^・〓λ/2=一定となる.このとき代表応力もσ_r〓E(λ/2A_1)^<1/n>=一定となる.上記の理論曲線とFE解析の結果はよく一致した.FE解析によれば,ε^^・とσ_rが一定なとき圧子の直下領域では相当応力と相当塑性歪み速度の等高線分布は幾何学的な自己相似性を保ちながら拡がっていく.その結果,圧子の押込み変位を単位とする等価な座標点では,相当応力と相当塑性歪み速度が,クリープ中ある一定値を保ちつづけることになる.つまり,擬定常変形状態が実現している.このときの結果からクリープの応力指数nを求めると,有限要素モデルに設定した応力指数n'と完全に一致した.この事実は,押込みクリープ試験によってクリープ特性値を正しく抽出できることを示唆している.押込みクリープ試験をある温度範囲でマイクロインデンターにより実施した.試料はAl-5.3mol%Mg固溶体合金である.上述のFEシミュレーションと同じ実験条件の下で得られた応力指数はn=3.1であり,クリープの活性化エネルギーはQ=128kJ/molであった.Q値は同合金の相互拡散の活性化エネルギー(130kJ/mol)に近い値である.上記の結果は,従来の引張クリープ試験から得られている値とほぼ一致している.
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