2007 Fiscal Year Annual Research Report
局所構造歪みを導入した鉛フリー圧電セラミックスの構造評価と物性制御
Project/Area Number |
19560675
|
Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
柿本 健一 Nagoya Institute of Technology, 工学研究科, 准教授 (40335089)
|
Keywords | 無鉛圧電体 / 結晶構造 / 温度特性 / 内部応力 |
Research Abstract |
本研究では、ニオブ酸リチウムナトリウムカリウム(LNKN)固溶体セラミックスの優れた圧電特性およびその温度特性の起源を探り、さらに優れた新材料創出に繋げることを目的としている。そこで、本年度はLNKNに関した各種モデル材料を合成し、その結晶構造の局所対称性を調べ、圧電特性に及ぼす影響を明らかにした。セラミックス合成では、精密原料調合、成型体組織制御、粒成長制御を行い、材料組織の不均一性を排除する合成プロセスを考案した。単結晶合成では圧電特性の測定が可能となるサイズの結晶をフラックス法によって合成することに成功し、はじめて単結晶圧電物性を明らかにした。一方、薄膜合成ではアルコキシド原料を用いて各種基板材料に塗布し、熱処理プロセスを改良することによって、内部応力を印加した薄膜材料を合成した。そして、これらの各種材料を放射光X線回折、X線吸収分光、およびラマン分光に供し、結晶構造の局所構造および短距離分子構造を調べた。 その結果、LNKNは含有するLi量が多くなるにつれて結晶面方位に異方性が明瞭に現れ、特に5-6mol%のときに(100)面と(110)面に印加される内部応力が大きく異なり、強誘電性分極サイトのNbO6八面体が扁平的に歪むことが明らかとなった。この内部応力の方位依存性はLi量がそれ以上になると元に戻ることも確認した。一方、分光分析において分子振動の温度依存性を精密測定した結果、LNKNの相変態点を正確に計測可能とし、この相変態点が歪みの異方性と直接関係があり、制御可能であるとの重大な知見を得た。 総じて、無鉛圧電セラミックスの有力候補であるLNKNの結晶構造と圧電物性との密接な相関を認めるに至った。
|
Research Products
(42 results)