2009 Fiscal Year Annual Research Report
電極反応の素過程解析による固体酸化物形燃料電池の低温作動化
Project/Area Number |
19560679
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
鮫島 宗一郎 Kagoshima University, 理工学研究科(工学系), 准教授 (00274861)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平田 好洋 鹿児島大学, 理工学研究科(工学系), 教授 (80145458)
松永 直樹 鹿児島大学, 理工学研究科(工学系), 助教 (40405543)
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Keywords | 固体酸化物形燃料電池 / 開放起電力 / 出力密度 / 水素 / 正極 |
Research Abstract |
厚さ60μmの薄膜ガドリニア固溶セリア(GDC)を電解質、SrRuO3を正極とし、厚さ2mmのNi-GDC負極支持型のセルを調製し、水3vol%を含む水素を負極に、空気を正極に流通させ、500-800℃で発電特性を評価した。500,600,700,800℃での出力密度は33,113,219,348mW/cm^2、開放起電力は0.29,0.43,047,0.48Vであった。水素が存在しない雰囲気でHebb-Wagner法により求めた電子導電性を考慮したセルの開放起電力は、800℃でアノードの酸素分圧10^<15>Paまではネルンストの式で計算される値と近かった。一方、上述した発電実験における水素存在下での開放起電力はネルンストの式の計算値(600,800℃でそれぞれ1.17,1.11V)を大きく下回った。これはGDC中に水素が溶解しプロトンと水素が生成して、電解質内の短絡電流が増加したためである。このため、開放起電力は低下し、出力密度が低下した。また、薄膜イットリア安定化ジルコニア(YSZ)を用いたセルの水素存在下での開放起電力はネルンスト式の計算値に近かった。この結果はYSZ中に水素は溶解せず、水素雰囲気中でのYSZの高い化学的安定性を示した。 平均粒子径0.9μmのSrRuO_3を正極に用いた場合、空気流量100-150ml/minでは時間経過とともに開放起電力が低下する現象が観測された。GDCのような電子-酸化物イオン混合導電体の場合、開回路状態では酸化物イオンと電子の流速が等しくなる。微細な正極材料を用いた場合、正極中への酸素の拡散が抑制され、電解質中の酸化物イオンの拡散よりも遅くなると正極中の酸素分圧が空気よりも低下し開放起電力が低下すると考えられる。正極の細孔構造が開放起電力、出力密度に影響を及ぼすことが示唆された。
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