2008 Fiscal Year Annual Research Report
絶縁性金属酸化物材料のナノスケール形態制御による表面活性化と新機能の開発
Project/Area Number |
19560682
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
藤原 忍 Keio University, 理工学部, 准教授 (60276417)
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Keywords | ナノ材料 / 蛍光体 / 多孔質材料 / 結晶成長 / 酸化セリウム / スプレードライ |
Research Abstract |
絶縁性金属酸化物材料としてのCeO_2およびY_2O_3に焦点を絞って研究を進めた。具体的な研究実施内容は以下の通りである。 1.尿素の加水分解を利用し低過飽和な状態から優先的にガラス基板上に不均一核生成を引き起こし結晶成長させる化学浴析出法(Chemical Bath Deposition;CBD法)を用い、斜方晶オキシ炭酸セリウムCe_2O(CO_3)_2・H_2Oの針状結晶を析出させ、これを熱分解することによってCeO_2ナノ構造体を得るプロセスを見出した。原料のセリウム塩濃度を変えることによってナノ構造体の微細構造が制御できることがわかった。Ce_2O(CO_3)_2・H_2O結晶の熱処理によって得られるCeO_2は数nmサイズの微結晶の集合体であるため、これを生かした新しい機能の発現あるいは従来の機能の向上が期待される。 2.光機能をさらに追究するために、トリフルオロ酢酸を用いたゾルーゲル法によりCeO_2と同様の構造を持つCaF_2との固溶体を作製し、これに賦活剤としてドープしたEu^<3+>およびSm^<3+>の発光特性への影響を調査した。CaF_2を10%含む試料においてCeO_2単体に比べて発光強度の上昇が見られた。 3.球状のマクロポーラスY_2O_3:Eu^<3+>蛍光体を作製した。金属酢酸塩とポリスチレンラテックスを混合したコロイド溶液をスプレードライヤーを用い噴霧乾燥し、回収した粒子を電気炉にて焼成した。制御した条件は溶液、噴霧、焼成であり、それぞれ試料の形状に及ぼす影響を検討した。条件の変化による見かけの微細構造変化は見られなかったが、発光の最強ピークを得るにはそれぞれに最適な条件があることがわかった。マクロポーラス蛍光体の発光強度は、通常の試料に対して約70%に達した。
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