2008 Fiscal Year Annual Research Report
シリカナノ粒子表面への生物忌避性物質の固定化と海洋材料への防汚性の付与
Project/Area Number |
19560691
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
坪川 紀夫 Niigata University, 自然科学系, 教授 (20018675)
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Keywords | シリカナノ粒子 / 生物忌避性 / カプサイシン / シランカップリング剤 / シリルクロライド基 / イソシアネート基 / ウレタン結合 / 加水分解 |
Research Abstract |
本年度は、シリカナノ粒子表面へのカプサイシンの固定化と、粒子表面からのカプサイシンの除放性、およびこの様なシリカを複合化した塗料表面の生物忌避性について検討した。まず、シリカ表面のシラノール基をジクロロジメチルシランで処理することにより、粒子表面へ反応性のシリルクロライド基を導入し、ついでシリカ表面のシリルクロライド基とカプサイシンの水酸基との反応による、粒子表面へのカプサイシンが固定化について検討した。シリカナノ粒子表面へのカプサイシンの固定化の確認は、元素分析、FT- IR、TGA、および熱分解GC- MSにより行った。その結果、この様な方法で、シリカナノ粒子表面へカプサイシンが固定化できることが分かった。しかしながら、シリカナノ粒子表面へのカプサイシンの固定化量は少なかった。そこで、次に、カプサイシン固定化シランカップリング剤を用いる、シリカナノ粒子表面へのカプサイシンの固定化について検討した。すなわち、3-イソシアナートプロピルトリエトキシシランとの反応により、カプサイシン固定化シランカップリング剤を合成した。ついで、シリカナノ粒子をカプサイシン固定化シランカップリング剤で処理した。その結果、この様な方法により、シリカナノ粒子表面へカプサイシンがウレタン結合を介して固定化できることが分かった。なお、シリカナノ粒子表面へのカプサイシンの固定化量は、0.20mmol/gであった。この値は、従来の多分岐ポリアミドアミングラフトシリカへのカプサイシン固定化量の約2倍であり、非常に有効な方法であることが分かった。さらに、得られたカプサイシン固定化シリカは、辛味を有し、皮膚への刺激性を持っていた。なお、シリカナノ粒子表面へ固定化されたカプサイシンの除放性(ウレタン結合の加水分解による)について検討した結果、中性溶液中での除放性は認められなかったが、弱塩基性下では、粒子表面からカプサイシンが除放されることが分かった。現在、この様なカプサイシン固定化シリカを複合化した塗料の特性評価を進めている。
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Research Products
(2 results)