2007 Fiscal Year Annual Research Report
微小切欠きを導入した炭素繊維の破壊靭性測定に関する研究
Project/Area Number |
19560692
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
向後 保雄 Tokyo University of Science, 基礎工学部, 教授 (60249935)
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Keywords | 炭素繊維 / 破壊靭性 / FIB / 微細加工 / 複合材料 |
Research Abstract |
本年度は、研究目的に記載の「(1)切り欠き加工形状の最適化」を主に実施し、各種加工条件で作成可能な切り欠き寸法並びに形状について検討した。その結果、FIB加工で使用するビーム系を10nm(公称値)に設定して加工することで、最小50nm程度の先端幅を持つ切り欠きの作成が可能であることが明らかになった。この結果をふまえ、「(4)炭素繊維の破壊靱性値測定」の一環として、先端幅の異なる破壊靱性試験を実施した。本試験では、従来の試験方法を踏襲した。その結果、先端幅200nm程度までの小さい領域で先端幅によらず一定の破壊靱性値を得ることが可能となった。また、それより大きな先端幅の場合、得られる破壊靱性値が先端幅の増加とともに上昇した。このことは、200nm以上の領域では導入したノッチが亀裂として機能せず、破壊靱性試験としては不適切であったことを示唆するものである。 得られた実験結果から破壊靱性値を算出するためには、破断加重と初期亀裂長さより計算することが必要となる。本研究では「(3)破壊靱性値導出のための応力解析」において、有限要素法から求めることを想定している。これを実施するためには、炭素繊維自身の弾性特性を知ることが必要となるが、繊維軸方向以外の特性はほとんど知られていないのが実情である。そこで、せん断弾性率を求めることを目的として、ねじり振動法による測定方法を検討し、せん断弾性率の測定を可能にした。 以上のように、本年度は(1)を完了し、(3)および(4)の検討を行った。来年度は、(3)の解析方法を確立するとともに、(2)の目的である、より再現性を向上させるための試験方法の検討を実施予定である。
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