2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19560697
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
藤居 俊之 Tokyo Institute of Technology, 総合理工学研究科(研究院), 准教授 (40251665)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾中 晋 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 教授 (40194576)
加藤 雅治 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 教授 (50161120)
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Keywords | 銅基合金 / 導電材料 / 時効硬化 / 析出強化 / コルソン合金 |
Research Abstract |
昨年度の研究で高強度および高導電性が期待できることが明らかとなったCu-Co-Si合金について,Co濃度とSi濃度の最適化を行ったところ,合金の組成比Co/Siがほぼ2となるとき強度の最大値が得られることがわかった.実用化されているコルソン合金におけるNi濃度とほぼ同程度までCo濃度(2.1wt%)を高めたCu-Co-Si合金の時効材の特徴として,コルソン合金とほぼ同程度の強度を有する合金の導電率は,コルソン合金のそれに比べて高くなることを見出した.また,時効前の加工により,粒子の核生成成長が促進されることも明らかとなった.以上の研究より,Cu-Co-Si合金は高導電性材料としての用途を考えるとき,コルソン合金に比べて優位性を持つと結論できる.コルソン合金の疲労特性を調べた研究においては,析出粒子の半径が10nm以下の時効材において,顕著な繰り返し軟化挙動が観察された.疲労試験後の内部組織を透過電子顕微鏡観察したところ,約100nmの極狭いすべり帯内でのみNi_2Si粒子がせん断され,局所変形が進行していることが明らかとなり,繰り返し軟化の原因を解明した.また,純金属で見られる顕著な転位組織の形成は見られず,析出粒子が転位組織の形成を遅滞化させる効果を持つことがわかった.コルソン合金の疲労特性向上という観点では,転位にせん断されない分散粒子の導入が必要であり,一つの手法として,析出粒子サイズ分布をバイモーダル化する熱処理,たとえば二段時効が示唆される.
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