Research Abstract |
Mg-Al-Ca系ダイカスト合金(AX52)は,α-Mg相とラーベス相の二相組織を有する。マグネシウム合金の高温強度向上に果たすラーベス相の有用性を評価するために,Mg-Al-Ca系合金のクリープ特性を調査した。そして,この結果を,組織中にラーベス相を持たないMg-Al系(AM50)の場合と比較した。本年度は,内部応力測定によりマグネシウム合金の高強度化に果たすラーベス相の役割を明らかにするとともに,クリープパラメータおよびクリープ破断寿命についても調査を行った。得られた結果を,以下に総括する。 1)Mg-Al-Ca系合金におけるラーベス相は,約15MPaの内部応力を支え,また,同一の有効応力においてクリープ速度を1/100に低下させるはたらきを有する。マグネシウム合金の高温強度向上における,ラーベス相の有用性を確認した。 2)Mg-Al-Ca合金におけるクリープ速度の応力指数nは,降伏応力において増加し,高温ほど小さくなる。また,クリープの活性化エネルギーQ_cは,高応力ほど小さくなる。ラーベス相による高温強度の増加量は,低応力ほど拡大することを明らかにした。 3)Mg-Al-Ca系合金において,最小クリープ速度とクリープ破断寿命はMonkman-Grantの関係と呼ばれる現象論的な関係式を満たす。また,Monkman-Grantの関係式における指数mと比例定数Cは,温度によらず,それぞれ1および0.02となる。組織中にラーベス相を含まないMg-Al合金も,Monkman-Grantの関係式を満たし,指数mと比例定数Cはそれぞれ1および0.13となる。ラーベス相は,Monkman-Grantの関係式において定数Cを低下させることを明らにした。
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