2007 Fiscal Year Annual Research Report
ナノワイヤー構造を用いた高性能シリコン熱電変換モジュールの開発
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19560701
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
池田 浩也 Shizuoka University, 電子工学研究所, 准教授 (00262882)
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Keywords | 熱電変換材料 / シリコンナノ構造 / ゼーベック係数 / SOI基板 / 表面電位顕微鏡(KFM) / 単電子冷却 |
Research Abstract |
本研究は,シリコン微細加工技術を礎として,ナノ構造の導入によりシリコン系熱電変換材料の性能指数の向上を目指している。本年度得られた主な結果を以下に示す。 (1)極薄シリコン層の熱電特性評価 3〜300nmに薄層化したSOI基板について,ゼーベック係数および電気伝導率の測定を行った。ゼーベック係数のキャリア濃度依存性をプロットしたところ,SOI膜厚に依らずほぼ一本の曲線に乗ることが明らかとなり,SOI基板に対するゼーベック係数のユニバーサルカーブを得ることができた。しかしこの結果は,SOI層厚10nm以下の試料について,電子の閉じ込め効果による特性改善が見られないことも示している。これは,膜厚の揺らぎにより状態密度の急峻性が消滅したためと考えられる。また,このSOI基板のゼーベック係数はバルクのシリコン基板よりも小さい値となっており,今後この原因を探求する必要がある。 (2)KFMによるSOI層表面電位の交流応答測定 単電子冷却実験のための基礎実験として,SOI基板表面電位の交流応答特性をKFMにより観察した。基板表面のアルミニウム電極に交流印加した場合,SOI層表面において印加電圧に追従したKFM信号が得られており,交流応答の測定が可能であることを確認した。基板シリコンに交流印加した場合にも応答信号が得られることも確認した。今回の測定におけるKFM信号の遅延時間は約0.4〜0.9秒であり,印加可能な最大周波数は約1Hzであることがわかった。しかしこの応答周波数は,KFM測定における測定パラメータに強く依存することが予想されるため,測定条件をさらに詰めていく必要がある。
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Research Products
(8 results)