2009 Fiscal Year Annual Research Report
新規クラスレート半導体の創製と熱電変換材料への応用に関する研究
Project/Area Number |
19560713
|
Research Institution | Tokyo University of Science, Yamaguchi |
Principal Investigator |
阿武 宏明 Tokyo University of Science, Yamaguchi, 工学部, 准教授 (60279106)
|
Keywords | 熱電変換材料 / クラスレート / 半導体 / ゼーベック係数 / 熱伝導率 / ゲストーホスト間相互作用 / 有効質量 / フォノン |
Research Abstract |
本研究では、新規熱電変換材料としての応用を目指して、クラスレート半導体(Si,Ge)の熱電特性に及ぼす遷移金属元素によるホスト置換効果、および希土類元素によるゲスト置換効果について実験研究を行った。以下に結果をまとめる。 1.ホスト元素置換効果:n型Ba_8Ga_<16>Ge_<30>クラスレートにおける遷移金属元素によるホスト6cサイト置換を系統的に調べており、H21年度はNi置換の効果について検討した。従来までの実験結果も含め、Ni族(Ni,Pd,Pt)・Cu族(Cu,Ag,Au)元素6cサイト置換によりn型の熱電能(電子有効質量)が増加する効果があり、Ni<Pd<Pt、Cu<Ag<Auの傾向があることがわかった。さらに、キャリア緩和時間を評価したところ、Ba_8Ga_<16>Ge_<30>よりも遷移金属元素置換化合物の緩和時間が増加、つまりホスト6cサイト置換によりキャリア散乱が低下することが判明した。有効質量が増加する効果に加えて緩和時間が増加する効果は熱電物性を向上させる上で有利な点である。 2.ゲスト元素置換効果:H20年度までにゲスト元素置換によって伝導帯電子構造が変調する効果のあることを見出しているが、H21年度はBa_8Ga_<16>Si_<30>系クラスレートにおける希土類元素ゲスト置換によるフォノン物性への効果を検討した。BaゲストをSr(比較実験)とEuで一部元素置換した化合物を作製し、その結晶構造パラメータの精密化を行った結果、SrとEuはゲスト2aサイト(ホスト12面体構造の中心)を優先的に占有し、原子変位パラメータはBaとSrよりもEuの方が大きいことがわかった。格子熱伝導率はEuゲスト置換で大きく減少する場合があり、熱電物性の向上に繋がる有益な効果を見出した。結晶構造解析の結果と格子熱伝導率・比熱・音速の測定の結果からフォノンの散乱機構について考察し有益な知見を得た。
|
Research Products
(16 results)
-
-
-
[Journal Article]2009
Author(s)
阿武宏明
-
Journal Title
セラミックデータブック2009/10「ナノ構造制御によるクラスレート熱電変換材料の創製」(工業製品技術協会(株式会社テクノプラザ))
Pages: 70-73(186)
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-