2008 Fiscal Year Annual Research Report
複合体の界面拡散反応を利用した二硼化マグネシウム超伝導線材の作製
Project/Area Number |
19560716
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
熊倉 浩明 National Institute for Materials Science, 超伝導材料センター, センター長 (90354307)
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Keywords | 二硼化マグネシウム / 拡散反応 / 超伝導線材 / 臨界電流密度 / 充填率 |
Research Abstract |
昨年度の単芯線材の成果を元に、Mg拡散法により7芯のMgB_2多芯線材を作製した。外径6mm、内径4mmの鉄管の中心に径2mmの純Mg棒を配置し、Mg棒と鉄管との隙間にアモルファスボロン粉末またはアモルファスボロン粉末に5mol%のSiCナノ粉末を添加した混合粉末を、なるべく密になるように充填した。これを溝ロールやダイス線引きで1.3mm径程度のワイヤーに加工し、これより長さ40mmの線材を切り出し、これらの単芯線材7本を外形6mm、内径4mmのCu-Ni合金管のなかに挿入して、さらに溝ロールとダイス線引きで1.3mm径のワイヤーに加工した。昨年度の単芯線材の場合と同様に、7芯線材においても、焼鈍等を必要とせずに断線なく最終径の線材にまで加工できることがわかった。この7芯線材を550℃から800℃の種々の温度で熱処理した。これによりMgがボロン層に拡散して行き、反応層が形成された。熱処理温度が600℃以下の場合は、7芯のそれぞれの中心部分に未反応のMgコアが残留することがわかった。断面のSEM観察ならびにEDX分析の結果、反応層はMgB_2相を中心とするが、MgB_4と思われる不純物相がかなり多量に存在することがわかった。これらの線材について、4.2K、磁界中で臨界電流密度Jcを評価した。最も高いJcは600℃の熱処理で得られ、その値は8テスラで1.1×10^5A/cm^2であった。この値は昨年度の単芯線材の最高値よりもわずかに高い値である。600℃の熱処理温度はMgの融点よりも低く、Mgの固体拡散によりMgB_2が生成したものと考えられる。
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