2007 Fiscal Year Annual Research Report
アモルファス相微細分散ナノコンポジット化による熱電変換材料の高性能化
Project/Area Number |
19560729
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
勝山 茂 Osaka University, 大学院・工学研究科, 准教授 (00224478)
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Keywords | メカニカルミリング / ゼーベック係数 / 電気抵抗率 / 熱伝導率 / 微細分散 / 階層的形態制御 / フォノン |
Research Abstract |
熱電変換材料の高性能化には、材料の熱電能αを大きく、電気抵抗率ρおよび熱伝導率κを小さくする必要があるが、これらのうち、ρおよびκは結晶中の置換原子や格子欠陥のほか、結晶粒界、析出物など材料中の微細組織の影響を強く受ける。特にκは格子振動(フォノン)の散乱により効果的に低減させることができるが、フォノンの散乱が最も効果的に働き熱を伝えにくい物質形態の代表がガラス(アモルファス)である。本研究はガラス相と結晶相のコンポジット化によりフォノングラスをモデル的に実現した組織を持つ高性能な熱電変換材料の開発を目的としている。本年度は、コンポジット材料を作製する際の前段階として、マトリックス材料の候補となるものについて検討を行った。Zr基材料であるハーフホイスラー合金ZrNiSnは高温からの急冷によりガラス化しやすい材料であると考えられるが、このSnの一部をSbで置換したZrNiSn_<1-x>Sb_x系についてメカニカルミリング処理を行った。10時間程度までのミリング処理ではZrNiSnの結晶構造を保持していたが、それ以上のミリング処理では一部分解が起こってZrNi相の析出が見られ、また、X線回折ピークのブロード化が見られた。このことはZrNiSn系において長時間のミリング処理により組織のアモルファス化が実現できる可能性を示している。ミリング10時間までの粉末試料について焼結を行い、その焼結体の熱電特性を評価したところ、ZrNiSn_<0.98>Sb_<0.02>を3時間ミリングした試料において最大0.67の無次元性能指数ZTが得られ、ミリング無処理の試料の0.40を大きく上回った。このことはアモルファス化の後、結晶化することにより熱電性能の向上が得られる可能性のあることを示唆するものである。
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Research Products
(3 results)