2009 Fiscal Year Annual Research Report
アモルファス相微細分散ナノコンポジット化による熱電変換材料の高性能化
Project/Area Number |
19560729
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
勝山 茂 Osaka University, 工学研究科, 准教授 (00224478)
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Keywords | メルトスピニング / ハーフホイスラー / ゼーベック係数 / 電気抵抗率 / 熱伝導率 / 放電プラズマ焼結 |
Research Abstract |
熱電変換材料の高性能化には、材料のゼーベック係数Sを大きく、電気抵抗率ρおよび熱伝導率κを小さくする必要があるが、これらの物性値のうち、ρおよびκは結晶中の置換原子や原子空孔のほか、結晶粒径、析出物など材料中の微細組織の影響を強く受ける。一般にρが最も小さい物質の形態が単結晶(クリスタル)であり、一方、κは格子振動(フォノン)の散乱により効果的に低減させることができるが、フォノンの散乱が最も効果的に働き、熱を伝えにくい物質形態の代表がガラス(アモルファス)である。本研究は結晶相とガラス相のコンポジット化によりエレクトロンクリスタルーフォノンガラスをモデル的に実現した組織を持つ高性能な熱電変換材料の開発を目的としている。本年度は、ハーフホイスラーZrNiSn合金を母相とする複合焼結体熱電変換材料の作製を試みた。ZrNiSn結晶相粉末にメルトスピニング法により作製したZrNiアモルファス相粉末を重量比で9:1の割合で混合した混合粉末をSPS(放電プラズマ焼結)により100MPaの加圧下、400℃まで加熱して複合焼結体を得た。X線回折による同定の結果、この複合焼結体は結晶相とアモルファス相から成っていることが確認できた。焼結温度が低いため、相対密度は80%台と低い値であった。同条件で作製したアモルファス相を含まないZrNiSn焼結体に比べて、複合焼結体のゼーベック係数、電気抵抗率および熱伝導率はともに減少する傾向が見られた。これはアモルファス相の物性による影響、特に熱伝導率の減少は結晶相とアモルファス相の異相界面によるフォノンの散乱効果によるものと考えられ、アモルファス相との複合化が熱伝導率の減少に有効であることが確認できた。結果として無次元性能指数ZT(S^2T/(ρκ))は400℃で約0.06程度となり、複合焼結体の方が全般にわたり若干大きな値を示した。
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Research Products
(3 results)