2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19560730
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
矢吹 彰広 Hiroshima University, 大学院・工学研究科, 准教授 (70284164)
|
Keywords | ナノ粒子 / 自己修復性 / コーティング / 皮膜 / アルミニウム / マグネシウム / 腐食 / 防食 |
Research Abstract |
本年度は従来のクロメート処理に変わる複合型自己修復剤としてアルミニウム合金およびマグネシウムの防食に有効なナノ粒子と有機修復剤の探索のため,ナノ粒子と有機修復剤を複合化した場合の防食挙動の把握を行った。さらに,塗膜に修復剤を添加した場合の防食挙動を評価した。実施内容は以下のとおりである。 1.ナノ粒子と有機修復剤の複合化:防食特性の優れたナノ粒子としてチタニア粒子,有機修復剤としてカゼインを用いてマグネシウム合金表面にコーティングを行った。基材にチタニア粒子をディップコートし,その後にカゼイン水溶液中に浸漬させて,カゼインの保持を行った。液のpHを変更することによりカゼインの粒子サイズが変わることを利用して,最適な保持方法を検討した。作製したコーティングにスクラッチを入れ,それを0.0005M食塩水中に浸漬し,電気化学測定により腐食抵抗をモニタリングした。試験の結果,カゼイン水溶液をpH12からpH5に変えて作製した試験片では腐食抵抗が上昇し,自己修復機能が発現した。さらに,試験後のスクラッチ部の観察により,カゼインの移動が確認された。 2.塗膜への複合自己修復剤の添加:フェノール樹脂にナノ粒子としてチタニア粒子および修復剤を添加し,それをアルミニウム合金にコーティングした。塗膜にスクラッチを入れ,人工海水中で腐食試験を行,電気化学測定を行った。試験の結果,樹脂中にチタニア粒子を3vol%添加した場合,腐食抵抗が大きく上昇し,自己修復が最大になった。さらに,試験後のスクラッチ部には約1μmの修復膜が形成されていることが確認された。
|