2009 Fiscal Year Annual Research Report
微視的反応浸透による金属間化合物厚膜の整列多孔質組織の形成機構
Project/Area Number |
19560740
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
大参 達也 Hokkaido University, 大学院・工学研究科, 准教授 (90169061)
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Keywords | 金属間化合物 / 多孔質組織 / マイクロチャンネル / 触媒担体 / 反応浸透 / 粉末冶金 / 液体焼結 |
Research Abstract |
Ni-Al糸の粉末冶金的マイクロチャンネル形成プロセスにおいて、マイクロチャンネルの内壁に生成するNiAl金属間化合物厚膜の特異な整列多孔質組織に着目し、その形成機構を検討した。 金属間化合物厚膜の多孔質化に及ぼすNi粉末中の空隙の影響を明らかにする目的で、 Ni粉末に替えて空隙の幾何学的形状を制御しやすいNi細線で犠牲コアAl線を包囲したモデル試料を用いて焼結実験を実施した結果、細孔を含まない均一な厚さの厚膜が形成した。加工硬化したNi線は圧縮成形に際しても変形しにくく、線の間隙形状が保持されたため、反応浸透が容易に行われた結果、緻密な厚膜が形成したものと推察された。この結果は、反応浸透が妨げられることにより整列多孔質組織が形成することを示唆している。そこで、Ni粉末を用いた標準的な粉末成形体の焼結の途中で、(1)所定温度で急冷する、(2)所定温度で所定時間温度保持を行い急冷する等の組織凍結実験を実施し、厚膜の形成過程を詳細に追跡した。その結果、以下の結果を得た。(1)比較的低温で形成するAl_3Ni_2金属間化合物厚膜において既に整列多孔質組織が見られた。(2)Ni粉末を基点としたAlプール側への金属間化合物の擬等温凝固的な結晶成長と、Ni粉末側への反応拡散によって厚膜が形成する。(3)擬等温凝固的な結晶成長によりセル状の金属間化合物が形成し、その間隙が細長い細孔となる。(4)Ni粉末側への反応拡散では、Ni粉末間の気孔の連続的な配列が優先的に引き継がれることによって細長い細孔が形成する。(5)焼結時の昇温速度を上げることにより直径50ミクロン程度の細いマイクロチャンネルの形成が可能となる。これは、Al融液中のNi飽和濃度を急速に上昇させることによって、チャンネル閉塞をもたらす擬等温凝固的な結晶成長を抑制する効果による。
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Research Products
(2 results)