2007 Fiscal Year Annual Research Report
スラグ中の珪酸塩ネットワークのフッ素による分断の動的解明
Project/Area Number |
19560741
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
太田 弘道 Ibaraki University, 工学部, 准教授 (70168946)
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Keywords | 珪酸塩 / 融体 / 熱伝導率 / 熱拡散率 / 動的構造 / フッ素 / スラグ / フッ化物 |
Research Abstract |
珪酸塩融体は製錬工程において重要な役割を果たす物質であり、その動的構造についても粘性の系統的測定、分子動力学的な手法により解明が試みられている。本研究では珪酸塩融体の動的構造解明のために、珪酸塩中のSiO4四面体ネットワークの分断効果が大きいCaFをAl2O3-CaO-SiO2系の珪酸塩融体に添加して熱伝導率の測定を行う。1500K以上では珪酸塩などの透明物質は物質内部で赤外線の吸収と放射を行う。高温においてこのような透明な試料の伝熱的特性を熱放射の影響を受けずに測定することは、従来、非常に困難とされてきた。本研究では温度勾配を与える熱源としてパルスレーザを用い、さらに温度計測系を工夫し、ミリ秒オーダの計測を行うことにより熱放射の影響をほとんど受けない測定を実現している。この手法は高温の計測で測定結果に大きな影響を与えることが知られている放射、対流、試料の電気化学的な性質の影響を原理的にほとんど受けない。本年度は、各種酸化物およびフッ化物を白金るつぼ中で溶解し試料作成を行った。溶解直後の組成、熱伝導率の測定実験終了後の組成を、化学分析によって調べた。試料の調合組成と比較し、Al、 Ca、 Siは、ほとんど減少が認められないのに対し、Fは溶解直後で半減、熱伝導率の測定実験終了後には、ほぼゼロとなった。このことから温度や測定時間を工夫することにより、十分なFを含んだ状態で実験を行う必要のあることが分かる。今後、実験条件を調整し、Fの量を定量的に明らかにした実験を実施する。
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