2008 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ組織制御による銅基合金の電気的・機械的特性の高度複合化
Project/Area Number |
19560742
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
門前 亮一 Kanazawa University, 機械工学系, 教授 (20166466)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡邊 千尋 金沢大学, 機械工学系, 准教授 (60345600)
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Keywords | 高導電性合金 / ナノ組織制御 / ECAP / ARB / 熱的安定性 / Cu-Ni-Si合金 / Cu-Ni-Be合金 |
Research Abstract |
昨年度に引き続き,Cu-2.0wt%Ni-0.5wt%Si合金とCu-1.2wt%Ni-0.2wt%Be合金をベース材とし,前者に0.15wt%Mn, 0.15wt%Mgを添加した合金,後者に0.1wt%Co, 0.1wt%Mgを添加した合金,両ベース材に0.17wt%Zrを添加した合金を作製した.さらに,溶体化処理後のCu-2.0wt%Ni-0.5wt%Si-0.17wt%Zr合金とCu-1.2wt%Ni合金-0.2wt%Be-0.17wt%Zr合金に側方押し出し加工法(ECAP)と繰返し重ね接合圧延(ARB)法を適用した.これら合金の強度,耐応力緩和特性を調べ,新たに以下の結果を得た. 1. Cu-Ni-Si合金とCu-Ni-Be合金にいずれの元素を添加しても強度が向上した.強度向上は析出物の数密度が増加し;δ及びγ''析出物の析出物間距離が減少したことに起因する. 2. Cu-Ni-Si合金,Cu-Ni-Be合金が良い応力緩和特性を有するのは,NiとSi及びNiとBeの複合添加により,コットレル雰囲気が形成されるためと説明できる. 3. Zr, Mnなどの元素添加により,Cu-Ni-Si合金,Cu-Ni-Be合金の応力緩和特性は向上した.これは,析出物が転位上に優先析出することで,可動転位が減少するためと説明できる.また,Mg添加による応力緩和特性向上の原因は,可動転位の減少に加え,Mg原子によりコットレル雰囲気が形成されるためであると理解される. 4. ECAP加工及びARB加工と熱処理を併用して作製した合金は,Cu-2.0%Ni-0.5%Si-0.17%Zr合金と実用組成をもつCu-2.05%Ni合金-0.35%Be-0.17wt%Zr合金に圧延と時効を併用した場合と比較して強度,伸びは向上するが,応力緩和特性は低下する.
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