2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19560750
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
眞岩 幸治 National Institute for Materials Science, 材料ラボ, 主任研究員 (10343849)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 秀夫 独立行政法人物質・材料研究機構, 材料ラボ, グループリーダー (50343843)
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Keywords | 包晶 / 安定相 / 準安定相 / 結晶成長 / 核形成 |
Research Abstract |
本研究はSr(NO_3)_2-H_2O系をモデル物質として、高温および低温で安定な二つの結晶相の核形成、成長過程を直接その場観察し、包晶系における結晶成長と、その結果生ずる組織形成を速度論的立場から明らかにすることを目的としている。19年度は核形成に関する研究を中心に行った。結晶を溶液から成長させる場合、溶液を飽和温度から冷却して過冷状態とする。この際、飽和温度と過冷温度との溶解度差すなわち過飽和度が結晶成長の駆動力を示す指標となる。従って、まず二つの相の溶解度を、安定および準安定領域でそれぞれ測定する必要がある。測定の結果、溶解度曲線は二相とも安定領域から準安定領域に連続的に延長できることがわかり、これにより過飽和度を正しく見積もることができた。溶液の温度を下げて過冷状態にすると、過飽和度が増加するため核形成速度は最初増加するが、さらに温度降下すると温度低下効果が過飽和度増加効果を上回り、次第に核形成速度は減少することが明らかになった。これは二つの相に共通しており、ある温度で核形成速度の極大値が現れ、またその温度で二つの相の核形成速度差が最も小さくなることが分かった。これまで、例えば準安定相の選択的成長のためには、溶液をできるだけ過冷して大きな過飽和状態にする必要があると考えられてきた。しかし今回の研究により、相の選択的および効果的成長には、必ずしも大きな過飽和度が必要なわけではなく、それぞれの相に対応した最適な溶液の温度とそれによって得られる最適な過飽和度条件が存在することが示された。
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