2007 Fiscal Year Annual Research Report
ソフト水熱プロセスによるRNaseの不活化と新しい滅菌法の開発に関する研究
Project/Area Number |
19560763
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
宮本 徹 Tohoku University, 大学院・医学系研究科, 教育研究支援者 (10443988)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
笠井 憲雪 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (60001947)
岡野 伸哉 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (20399992)
|
Keywords | 水熱プロセス / RNase A / 不可逆の熱失活 / 高温高圧水蒸気 / 酵素活性 / 不活化、または失活 / ペプチド結合の加水分解 / フォールディング |
Research Abstract |
【目的】分子生物学的コンタミネーションであるRNase (ribonuclease: RNA分解酵素)は、熱などに対して非常に安定で破壊されにくく、各種微生物の混入を防ぐために行われる通常のオートクレーブ滅菌(飽和蒸気、121℃、0.2MPa、20min)処理では、器具や溶液中のRNaseを完全に除くことはできないとされている。発表者らは、水熱プロセスの研究により、150℃以下の非常にマイルドな水熱プロセス(以下、ソフト水熱プロセスと記す。)により、RNaseの不活化ができる可能性を示唆した。本研究の目的は、ソフト水熱プロセスによるオートクレープ滅菌処理により、器具や溶液中の混入微生物の滅菌はもとよりRNaseの不活化の可能性を示し、新しいソフト水熱プロセス滅菌法を開発することにある。 【方法】予備実験として通常のオートクレーブ滅菌(飽和蒸気、121℃、0.2MPa、20min)と乾熱滅菌(乾熱、180℃、常圧、60min)処理でのRNaseの不活化の評価を行う。次に基礎実験として、バッチ式ミニオートクレニプによる平衡系により、それぞれ温度、圧力、蒸気飽和度を変化させることにより、RNaseの不活化を考察し、これらの反応メカニズムを解明した。 ソフト水熱プロセス領域でのRNaseの不活化の評価は、SDS-PAGE、PAGE電気泳動および分光光度計で分析を行い、RNaseの不活化の効果を明らかにした。 【結果および考察】通常のオートクレープ滅菌と乾熱滅菌では、処理直後はRNaseは失活するが、時間の経過と共に酵素活性が回復することを示し、既往の滅菌方法では失活できないことを確認した。さらに、RNaseの酵素活性は、蒸気飽和度を増加させることにより、110℃、0.14MPa、20minでも不可逆的に熱失活することを示した。これは、蒸気飽和度の変化により、RNaseが折りたたみとS-S結合組替による修復できる可逆的熱失活かち、ペプチド結合の加水分解による不可逆的熱失活が起こっていることを明らかにした。新しい滅菌法により、エンドトキシンやプリオン等の異型蛋白質の不活化にも応用できることを示唆した。
|
Research Products
(3 results)