2007 Fiscal Year Annual Research Report
スパッタ法によるシリサイド薄膜構造形成過程の理解と電子デバイスへの適用
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19560764
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
辻 佳子 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 助教 (10436529)
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Keywords | コバルトシリサイド / スパッタ / 結晶成長 / 核発生と成長 / 配向 / 界面ラフネス / 半導体デバイス |
Research Abstract |
MOSFET-LSIの電極・配線材料として広く使用されているシリサイド薄膜において、トランジスタ特性のばらつきの原因となるシリサイド/絶縁膜界面ラフネスのないCoSi2膜(膜厚30nm)を低温(<500oC)で形成させることを目標とする。現行プロセスは、Co/多結晶Si積層構造のアニールによりCosi2膜を形成しているが、ここではCoとsiの同時成膜によるCosi2多結晶膜形成を試み、結晶成長の立場から膜構造形成メカニズムを理解した上で、構造制御を行う。また、CoSi2電極の電気的機能評価を行い、構造と機能の両者を満たすプロセスの確立を目指す。 平成19年度は、絶縁膜SiO2上での検討を進めた。非加熱基板上へ非晶質CoSi2を成膜しアニール(〈500oC)する固相成長では、成膜時に形成された粒径1nm程度の結晶核がアニール時に粒径100nm程度の板状結晶に成長し、配向はランダムとなった。一方、基板を加熱(〈500oC)した状態でCoSi2を成膜する気相成長では、基板表面に形成される初期核はランダム配向であった。引き続く成膜で(111)配向の粒子が優先的に成長し、膜表面での粒径が20nm程度の錐体型結晶を形成し、膜厚の増大とともに(111)配向度が増大した。上記検討から、固相成長と気相成長でのCoSi2多結晶膜の構造形成は大きくことなるが、いずれの場合もCo-Siの固相拡散の過程が不要であるため、現行プロセスである積層構造のアニールによるCoSi2形成よりもプロセス温度を大幅に低減されることができた。また、膜構造形成過程が大きく異なるCoSi2膜であっても、電気抵抗率はプロセス温度にのみ依存し、500oC以上であればLSI配線材料としての仕様を満たすことがわかった。さらに、絶縁膜を介してのリーク電流はプロセス温度の上昇と共に増大したが、界面ラフネスを含め詳細は次年度の検討項目である。
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