2008 Fiscal Year Annual Research Report
ウェーブレット解析を用いたフィルム製造プロセスの分布制御
Project/Area Number |
19560765
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
橋本 芳宏 Nagoya Institute of Technology, 工学研究科, 教授 (90180843)
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Keywords | フィルム製造 / シミュレーション / 分布制御 / ウェーブレット / 有限要素法 / 結晶方向 / ずれ |
Research Abstract |
本研究では、フィルム製造工程で、フィルム走行に大きなずれが発生した場合にも、ずれを検出でき、そのずれが発散することを抑制するだけでなく、オンラインで、そのずれを解析して、操作端に対応する測定端を求めることを目的としており、フィルムの幅方向でのウェーブレット解析を用いて、ずれにより生じる不調を検出して、ずれを推定し、制御系を変更することを、研究協力企業の製造装置で成功した。しかし、そのずれがどのように生じるものかについてはまだ、解析できておらず、対処療法になっている。 この研究では、ローラ間を流れるフィルムが、前後のローラの回転速度の差異で、流れ方向に延伸され、さらにフィルムの端をつかみ横方向に広げられるという縦延伸、横延伸を扱うモデルの構築を行った。フィルムの延伸では、厚さの分布が生じると、薄いところはさらに薄く延ばされる可能性があり、ヒーターにより温度分布をつくり、伸びやすさを調整するので、ローラ間を走行するフィルムがヒーターにより温度が変化し、延伸により形状も変化するという計算が必要である。流体解析など分布の変化を計算するためのソフトウェアは多数存在するのであるが、上記の条件を満たすソフトウェアは存在せず、熱と力の影響を考慮できる有限要素法のモデルを構築した。まだ、伝熱によるフィルム温度の変化については調整が必要で、現実のデータとのフィッティングには課題があるが、このモデルにより、伸張の不均一性による操作端と検出端のずれの発生を検討できるようになった。このモデルによりフィルム上の応力分布を解析することにより、ポリマー結晶の並びも推定でき、加工条件による光学特性の変化についても解析できると期待でき、ずれ以外のフィルム製造の多様な問題の解決に貢献できると考えられる。
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