2007 Fiscal Year Annual Research Report
サルファーフリー・クリーン燃料製造のための新しい脱硫法の開発
Project/Area Number |
19560770
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
菅原 勝康 Akita University, 工学資源学部, 教授 (60154457)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野中 利瀬弘 秋田高専, 物質工学科, 助教 (20400525)
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Keywords | 硫黄 / イオン性流体 / 脱硫 / クリーン燃料 / 化石燃料 / チオフェン / チオール / 抽出 |
Research Abstract |
環境保全の観点から、炭化水素資源由来の燃料中の硫黄化合物に対する規制は、年々厳しくなる傾向にある。従来、燃料油中の脱硫法として水素化脱硫が行われているが、このプロセスでは高温・高圧の過酷な反応条件と水素ガスならびに高価な脱硫触媒を必要とする。またジベンゾチオフェンがアルキル置換された化合物は脱硫しにくいという欠点があり、今後さらなる硫黄分の低減に対応するためには、より過酷な反応条件が必要になると予想される。そこで本研究では、水素ガスや触媒を必要とせず常温・常圧下の穏やかな反応条件下にて、炭素資源中の有機硫黄を選択的に分離する新規な脱硫法の開発を試みた。 本年度は、モデル燃料油としてn-ドデカンを用い、また有機化合物として1-オクタンチオールならびにジベンゾチオフェンを用いた。まずチオールの分離除去特性を調べるために、種々の金属粒子をチオール含有モデル燃料に添加し室温にて攪拌した。その結果、種々の金属粒子の中でも酸化鉛が極めて優れた選択性と吸着特性を示し、反応時間40分以内にほぼ100%の脱硫率が得られることが分かった。次に、チオフェン類の選択的分離を目的として、アニオンならびにカチオンのアルキル鎖長を変えた6種類のイオン性液体を調製し、ジベンゾチオフェンの抽出特性に及ぼすイオン性液体の種類の影響を調べた。イオン性液体は、トルエンに、1-ブチルイミダゾール、1-エチルイミダゾールまたは1-メチルイミダゾールを添加した混合液中に、窒素雰囲気下、アイスバスを用いて硫酸ジメチルあるいは硫酸ジエチルを添加することにより調製した。イオン性液体によるジベンゾチオフェンの抽出は、ほぼ15分以内に平衡に達し、多段階抽出により高効率で抽出分離が可能であることがわかった。また各イオン性液体のアルキル基の炭素数とジベンゾチオフェン抽出率には、ほぼ比例関係が得られた。以上のことより、燃料油中のチオールならびにチオフェン類を、穏やかな反応条件下で選択的に分離可能であることが明らかになった。
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Research Products
(3 results)