2007 Fiscal Year Annual Research Report
有機リン酸系殺虫剤フェニトロチオンの生物分解性評価と分解促進法の開発
Project/Area Number |
19560778
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
武尾 正弘 University of Hyogo, 大学院・工学研究科, 准教授 (40236443)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
根来 誠司 兵庫県立大学, 大学院・工学研究科, 教授 (90156159)
加藤 太一郎 兵庫県立大学, 大学院・工学研究科, 助教 (60423901)
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Keywords | フェニトロチオ / 3-メチル4-ニトロフェノール / 生物分解性 / 有機リン酸系農薬 / バイオレメディエーション / Pseudomonas putida SN1 |
Research Abstract |
有機リン酸系殺虫剤・フェニトロチオン(FT)は、ほ乳動物に対する毒性が、他の有機リン酸系農薬より低いことから、日本では大量に使用されているが、水生生物に対する毒性は依然強く、環境ホルモン作用を有することも知られている。本研究は、FTに対する土壌での生物分解性を代謝物の蓄積を含めた観点から、再評価するものであり、併せて、FT及びその代謝物に汚染された土壌のバイオレメディエーションを想定した、微生物の土壌挙動の把握と分解促進法の開発も目的としている。まず、河川や田畑などの9試料の土壌にFTを添加し、土壌での分解試験を30℃で実施した。その結果、2週間程度でほとんどの土壌でFTの消失が確認できたが、滅菌土壌を用いた場合でも、その減少が一部認められたため<微生物以外の分解要因の存在も考えられた。そこで、微生物分解に着目するため、河川、田畑、山林、活性汚泥の各1試料について、あらかじめ土壌あるいは活性汚泥の無機塩培地懸濁液の上澄み液を少量とり、これを100mg/LのFTと0.5%酵母エキスを含む無機塩培地に添加し、振盪培養による分解試験を実施した。その結果、活性汚泥の試料では、8日間の培養で50%のFTが3-メチル4-ニトロフェノール(3M4NP)に変換されて蓄積することがわかった。他の試料でも、分解に遅れはあるものの同様の挙動が観察された。総合的なFTの分解の観点から、3M4NPの分解に着目し、採取した土壌を用いて3M4NPの分解菌の分離を試みた結果、畑土壌から1株の分解菌が得られ、SN1株と名付けた。この菌株の16SrDNA配列を解析したところ、Pseudomonas putidaのものと99%以上の相同性が認められたことから<本菌株をP.putidaと同定した。本菌株は、細胞懸濁液(OD_<600>=1.0)を用いた分解試験で30mg/Lの3M4NPを22時間で分解した。
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