2007 Fiscal Year Annual Research Report
機能性近赤外蛍光分子プローブの創製と医療診断への展開
Project/Area Number |
19560784
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
鈴木 祥夫 National Institute of Advanced Industrial Science and Technology, バイオニクス研究センター, 研究員 (60321907)
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Keywords | 蛋白質 / 分析科学 / 分子認識 / 生物・生体工学 / ナノバイオ |
Research Abstract |
本年度は、これまでに開発したタンパク質検出用試薬を改良した近赤外領域に光の吸収帯および蛍光発光を持つ新規分析試薬の設計・合成し、その特性について評価した。今回開発した化合物は、分子内の電子共鳴を広げるためのスクアリン酸骨格と、水溶性を付与するためにフェノール性水酸基を併せ持っている。開発した化合物とタンパク質のひとつであるウシ血清アルブミンとの相互作用について、吸収スペクトル測定および蛍光スペクトル測定を用いて評価した。 今回、開発した分析試薬単独の水溶液の色は、薄いピンク色を呈しているが、ウシ血清アルブミンと室温で反応させると、瞬時に水溶液の色が紫色に変化した。これは、分析試薬がウシ血清アルブミンと複合体を形成した際、分析試薬がウシ血清アルブミン中に存在する疎水場に入り込むことにより、分析試薬を取り巻く環境が親水場から疎水場になったため、ソルバトクロミズム効果が誘起されたためであると考えられる。この時の吸収スペクトル変化を観察したところ、ウシ血清アルブミンの濃度の増加と共に、550nm〜650nmに存在する吸収帯の増加が観察された。同時に、蛍光スペクトルも観察したところ、ウシ血清アルブミン添加前は無蛍光であるが、ウシ血清アルブミンの濃度が増加するにつれて、650nm〜750nmの蛍光強度の増加が観察された。検量線については、ウシ血清アルブミン濃度と吸光度および蛍光強度との間には良好な直線関係が成立した。また、妨害物質の影響について検討したところ、無機塩、還元剤、有機溶媒などは、分析試薬とウシ血清アルブミンとの反応に影響を与えないことが分かった。
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Research Products
(14 results)