Research Abstract |
本研究は,船体構造設計における最大応力推定法として,設計不規則波を用いる手法を確立することを目的としている。船体構造に生ずる応力分布を推定するためには,船体に働く変動圧力分布を入力として,FEMを用いた構造解析を行う必要がある。しかしながら,これまでの船体運動計算では,非線形運動や非線形断面力の計算はできるものの,非線形圧力分布についてはきちんとした計算ができなかった。そこで,平成20年度は,まず,2次元特異点分布法を用いて,船体の2次元断面に作用する非線形変動圧力を計算する手法を確立し,その計算プログラムを開発した。次に,この計算プログラムを用い,大型コンテナ船を対象として,船体に生ずる最大応力の推定を行った。 まず,これまでの研究で求められた線形ストリップ法による計算結果より,応答関数の位相情報を用いて設計不規則波の生成を行った。次に,設計不規則波中での船体応答を,非線形性を考慮した波浪中の船体応答計算プログラムを用いて計算し,船体断面と波面の相対運動を求めた。さらに,得られた結果を入力として,本年度開発された計算プログラムにより,非線形変動圧力分布を求めた。そして,この圧力分布を入力として,FEMによる全船応力解析を行い,応力分布を求めた。これらの結果を基に、最大応力推定のための設計短期海象について検討を行い、船体構造設計に用いるべき設計海象について考察した。また,応力点ごとの非線形影響を整理し,どのような非線形影響係数を用いた場合にどの程度最大応力が推定できるかについても検討を行った。
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