2007 Fiscal Year Annual Research Report
弾性波散乱現象を用いた弾性体構造探査高精度化の基礎研究
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19560811
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
三ヶ田 均 Kyoto University, 工学研究科, 教授 (10239197)
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Keywords | 散乱理論 / ミー散乱 / レシーバー関数 |
Research Abstract |
(具体的内容)弾性波探査として,海洋における地殻構造探査データを用い,走時および波形の関係を,レシーバー関数を用いて調査した。その結果,レシーバー関数による波形再現が構造探査に有効であることが判明した。次に,波動方程式を満たす平面波入射に対し,波長と散乱体の相互作用を解析した。後者の数値シミュレーションでは,ミー散乱理論にボルン近似を適用し,散乱波の波長選択特性を数値的に調査した。 (意義)通常実施される屈折法探査記録に対し,レシーバー関数を用いた地殻構造解析が可能であることが見出され,走時のみならず波形を利用する意義が確認された。次にミー散乱理論による散乱波波長特性の研究では,今後の実験を実施する際に必要な,入力波長および散乱体の大きさの関係を概察するデータを取得した。(重要性)波動を用いる探査法では,通常有限波長の弾性波や電磁波が用いられている。資源を対象とする探査において,解像力を求め周波数帯を高周波に広げる場合,目論んだほど解像力が得られないという結果に至ることが多い理由の一つは,フレネル帯の扱いが不十分なためである。波動の走時を利用する手法では,有限波長の波であっても,周波数無限大で波長が無視し得るという仮定を置いており,波動の影響を見積もることがフレネル帯の概念導入に必要である。フレネル帯に留意する散乱効果を取り入れ,散乱理論をこれまで以上に丁寧に取り扱う探査の高精度化に繋がる基礎研究となった。
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