2008 Fiscal Year Annual Research Report
弾性波散乱現象を用いた弾性体構造探査高精度化の基礎研究
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19560811
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
三ケ田 均 Kyoto University, 工学研究科, 教授 (10239197)
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Keywords | 地震 / 地球計測 / モニタリング / 散乱 |
Research Abstract |
(具体的内容)昨年度実施した海洋における地殻構造探査データ解析手法を高度化し、走時のみならず波形を用いた地層(地震波速度)境界面の推定に用いうる方法に昇華させた。波動方程式を満たす平面波入射に対する波長と散乱体の相互作用の解析では,球状散乱体に対する解析的な解を用い,エネルギー保存則が満たされることを確認した後,フレネル帯との関連を調査した。 (意義)屈折法地震探査記録に対しレシーバー関数を適用することで地殻構造解析が可能であることが確認された。散乱理論による散乱波波長特性の研究では,エネルギー保存則が確認されただけでなく、散乱解析に用いるフレネル帯幅を整数倍にする必要があること,1次フレネル帯を用いることにより,理論解とは散乱強度が異なるものの,最もS/N比の高いイメージングが可能であることを示せた。また実験実施に必要な,実験機器の導入も行なうことができた。 (重要性)波動を用いる探査法では,有限波長の弾性波や電磁波が用いられているのに対し,無限周波数を仮定した走時解析がなされることが多い。本研究により,走時だけではなく,有限波長成分を波動論的に解釈するための道筋が得られた。また,これまで不十分であったフレネル帯の扱いに関しても,整数倍のWavepathを考慮する必要性が明らかとなっただけでなく,第1フレネル帯を用いることが,ノイズを含む実データの解析に有効であることを実証できた。フレネル帯に留意する散乱効果を取り入れ,散乱理論をこれまで以上に丁寧に取り扱う探査が高精度化に繋がることが確認できたと考えられる。
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