2008 Fiscal Year Annual Research Report
核融合炉システム用トリチウム低吸着・低溶解材料の探索
Project/Area Number |
19560826
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
松山 政夫 University of Toyama, 水素同位体科学研究センター, 教授 (90135004)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鳥飼 祐二 富山大学, 水素同位体科学研究センター, 准教授 (80313592)
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Keywords | 核融合炉材料 / トリチウム / 吸着量 / 溶解量 / Cu-Be合金 |
Research Abstract |
本研究の目的は、トリチウムの吸着量・溶解量を根本的に低減し、トリチウムプラント等で実際的に使用可能な材料の開発指針を構築することを目途とし、試験材料表面の物理的・化学的状態及び組成の分析と共にトリチウムの吸着量・溶解量の測定データの蓄積・評価を行い、トリチウムの低吸着・低溶解材料の探索・開発である。この様な目的の下で、銅基合金試料にトリチウムガスを曝露し、材料表面への吸着及び内部への溶解挙動を調べた。この際、トリチウムガスの曝露条件として圧力及び温度をパラメーターとして変化させ、それぞれの依存性を評価した。 573K以上の温度でCu-Be合金をトリチウムガスに曝露した場合、SS316L材と同程度のトリチウム濃縮が表面層に観測され、内部との濃度差は1000倍以上に達し、このトリチウム濃縮層の厚みは表面から1μm程度以下であると推定された。なお、この表面層に保持されたトリチウムは水分との接触によって20%程度まで除去できるが、完全な除去は困難であることが判明した。 一方、Cu-Be合金内部のトリチウム濃度は深さに関係なくほぼ一定になっており、曝露温度が高くなると濃度も高くなり、トリチウムの溶解が吸熱的であることが知られた。なお、溶解量の温度依存性は純銅における水素の溶解度の温度依存性に良く一致した。即ち、トリチウムの溶解度はSS316L材に比べ約1/300程度であり、トリチウムインベントリーの大幅な低減を図り得ることが知られた。上記目的を達成するために、今後は表面層のトリチウム濃縮を低減するための対策を検討することが重要であると結論した。
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