2007 Fiscal Year Annual Research Report
金属界面における水素同位体移行挙動に関する水分子の機能の解明
Project/Area Number |
19560833
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
林 巧 Japan Atomic Energy Agency, 核融合研究開発部門, 研究主幹 (70354678)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 博文 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 核融合研究開発部門, 研究副主幹 (20354615)
磯部 兼嗣 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 核融合研究開発部門, 研究職 (00354613)
小林 和容 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 核融合研究開発部門, 研究副主幹 (40354609)
大矢 恭久 静岡大学, 理学部, 准教授 (80334291)
奥野 健二 静岡大学, 理学部, 教授 (80293596)
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Keywords | 構造・機能材料 / 水素同位体 / 表面・界面物性 / トリチウム / 酸化膜 / 鉄 / 水蒸気 / マグネタイト |
Research Abstract |
今年度は、あらかじめ酸化物層の成長が確認できている表面組織構造を有する純鉄金属試験体を用い、純鉄を透過してきた原子状水素同位体(高純度トリチウム(^3H))が、金属一水蒸気界面でどのような化学形で水蒸気側へ移行するのかについて水蒸気分圧をパラメータとして調べた。この結果を、金属試料の表面状態変化観察結果とあわせ、移行機構にかかる仮説を整理するとともに、金属一水界面での移行結果報告と比較し、その挙動違いを議論した。成果を国内外の学会で報告・議論・情報収集し、論文として纏めた。以下に、具体的成果を示す。 1、表面を機械研磨した直後及び酸化膜形成後(約1.4um程度:150℃、8気圧の高温水中で20時間程度保管し自然形成させたもの)の純鉄配管試料を用い、その容器内に封入したトリチウム(1kPa)の400〜1000ppm-H20 in Arガスパージ雰囲気への移行挙動を約423Kにて、化学形を弁別して実施した。 2、純鉄の場合、機械研磨後のわずかな酸化物層によっても、数100ppm程度の水蒸気分圧があればほぼ全て水(HTO)の化学形で移行し、上述の水蒸気分圧変化では透過量に顕著な変化はなかった。しかし、この程度の分圧では、高温水と異なり酸化膜の形成増加は見られなかった。 3、金属一水界面実験結果と比較し、純鉄は高温水中で界面にマグネタイト酸化膜を成長させ、この膜形成初期の水素発生に伴い、水素(HT)で移行する成分があるが、酸化膜成長後はHTOカミ支配的となることが判明した。 4、界面の酸化物層と相互作用したトリチウムが水分子と同位体交換反応で移行すると整理できた。これらについては、トリチウム国際会議(米国ロチェスター大)と日本原子力学会2008春の年会(大阪木)に参加し、情報収集するとともに、成果を報告・議論し、一部を論文として纏めた(投稿中)。
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