2008 Fiscal Year Annual Research Report
金属界面における水素同位体移行挙動に関する水分子の機能の解明
Project/Area Number |
19560833
|
Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
林 巧 Japan Atomic Energy Agency, 核融合研究開発部門, 研究主幹 (70354678)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 博文 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 核融合研究開発部門, 研究副主幹 (20354615)
磯部 兼嗣 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 核融合研究開発部門, 研究副主幹 (00354613)
小林 和容 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 核融合研究開発部門, 研究副主幹 (40354609)
|
Keywords | 構造・機能材料 / 水素同位体 / 表面・界面物性 / 同位体交換 / 再結合 / 鉄 / 水蒸気 / 酸化膜 |
Research Abstract |
今年度は、7μm厚の金メッキを施した、酸化物層のない表面組織構造を有する純鉄金属試験体を用い、試験体を透過してきた原子状水素同位体(高純度トリチウム(^3H))が、金属-水蒸気界面でどのようなの化学形で水蒸気側へ移行するのかについて調べた。この結果を、昨年の表面に酸化物層を有する金属の試料の結果から整理した移行機構の仮説と比較・検証し、水素同位体移行に係る水分子の機能を考察し、国内外の学会(国際会議18th-TOFE2008及び日本原子力学会2009春の年会(東工大)など)で報告・議論・情報収集するとともに、論文(accepted)として纏めた。以下に、具体的成果を示す。 1)外表面に金メッキ(7μm厚)を施した純鉄配管試料容器を用い、容器内に封入したトリチウム(1kPa)の約1000ppm-H_2O in Arガスパージ雰囲気への移行挙動を約423Kにて、化学形を弁別して実施。 2)透過量は、機械研磨後及び高温水中酸化膜(1.4μm厚)形成後と比較して約1桁減少した。移行後の化学形は、機械研磨後及び高温水中酸化膜形成後ではほぼ100%水蒸気状であったが、金メッキ試料では85%が水素分子状であった。界面酸素を低減することで、界面に移行したトリチウムが水蒸気と同位体交換するよりも他の水素同位体原子と再結合することが支配的となる。本実験条件では、全体の透過量が1桁減少したにもかかわらず、界面に酸素がないと再結合反応による移行量が数10倍増加した。また、水蒸気への移行量は全体として2桁減少した。 3)すべての実験条件で、トリチウムの移行速度と比較して1000ppmの水蒸気の界面衝突速度は9〜10桁も多く、金属界面でのトリチウムの水蒸気との同位体交換には金属界面の酸素が重要な役割を果たし、金属界面に移行したトリチウムが界面の酸素と一旦相互作用した状態で水蒸気と同位体交換するものと理解できる。また、昨年の結果から、水分子の機能は液体状でも蒸気状でも変わらない。
|