2007 Fiscal Year Annual Research Report
イメージングプレートの潜像浮き出し現象のメカニズム解明及び消去法の開発
Project/Area Number |
19560835
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大内 浩子 Tohoku University, 大学院・薬学研究科, 助教 (10241522)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
馬場 護 東北大学, サイクロトロン・ラジオアイソトープセンター, 教授 (20005466)
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Keywords | 放射線・X線・粒子線 / イメージングプレート / 固体物理 / 固体検出器 / 光輝尽発光 |
Research Abstract |
イメージングプレート(Imaging Plate, IP)においては、可視光照射による残像消去によって繰り返し使用が可能であることが最大の特長であるが、1mGy以上のX線を照射すると潜像の消去不全現象及び浮き出し現象が顕著に現われる。しかし、これまでその特性やメカニズム等については明らかにされてきていない。本年度の研究においては以下を明らかにした。 1)線量率を一定(0.815Gy/min)にして、照射時間を変えて0.0081〜8.1GyのレンジでX線を照射したとき、浮き出し潜像の光輝尽発光(photostimulated luminescence, PSL)密度は、照射した線量(時間)に比例していた。また、いずれの線量でもピークは20〜30日の間にあった。 2)120℃恒温槽への放置14日でPSL浮き出し量はピークを示した後28日ではほぼ消失した。また、28日で消去不全光もほぼ消失した。ただし、加熱によりIPが変色した。 3)ハロゲン光と光学フィルターを組み合わせた実験により、長波長領域(500nm〜)に浮き出し現象に寄与する大きな電子の供給源はなく、短い波長域に励起波長が存在することが示唆された。 4)蛍光灯と光学フィルターを組み合わせた実験により、290nmあたりの蛍光灯から放出される水銀の短波長の輝線で電子が光励起され、これが633nm付近に移動して浮き出し現象の原因になることが示唆された。浮き出してきた潜像は可視光で容易に消去することができる。 以上の成果に基づき、IPにドープされているEuイオンを励起しないように短波長をカットしたUV光と白色蛍光灯を任意の時間同時にあてる新しい消去法を開発した。消去不全現象を生じたIPに本法を繰り返したところ、消去不全潜像を完全に消去することに成功した。また、本法により消去されたIPでは、その後UV光励起による浮き出し現象が生じなかった。
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Research Products
(4 results)